Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
いつか来た道・・・ 娘がロンドンの街角で撮ってきた写真に 既視感を覚えた。 そう、あの頃、ずいぶんと歩いたもの。 本の中で、想像力のままに。 10代半ばだったかしら。 学校や友達や習いごとにいっぱい悩みがあって、 出口も逃げ場もどこにもないけれど 本を開けば、 その石造りの街にも少女達がいて 同じように、学校や友達や習いごとに悩みを抱えながら 折り目正しい生活を送っていた。 出口や逃げ場ではなかったけれど、 文章やわずかな挿絵から めいっぱい想像力を膨らませた時間は 別の世界へ続く夢のひとときだった。 「ロンドン」が本の中の街だった頃。 少しずつ紅茶の美味しい季節になって、 ラズベリージャムをはさんだクランブルケーキを焼く。 そういえば、本の中の彼女達の暮らしには 必ず「お茶の時間」があった。 私がその特別な時間のなんたるかを知り、 紅茶の美味しさに気づくのは もう少し、あとになってから。 (2019.9.14) 残暑をひきずる日々。 二学期の憂鬱は、水鉄砲で吹き飛ばせ! とばかりに、 夕暮れ時には息子とバトルタイム。 情け容赦一切なし。 勝負ってそういうものよ。 夜、ちらと覗くと 宿題となっている一行日記には、 こう記されているのだった。 「母は生粋のガンマンだった。」 ・・・いや、 ・・・その。 水鉄砲で足りなきゃ、 コロッケで吹き飛ばせ! (2019.9) |
「ロンドンに飽きた者は、人生に飽きた者だ。 ロンドンには人生の与えうるすべてのものがあるから」 英国18世紀の文学者、 サミュエル・ジョンソンの名言の中で 最も有名なのは、やはりこの一文だろう。 この夏、娘は単身ロンドンへ。 16歳から18歳が対象となる大学のサマーコースを受講した。 完全に一人での留学だったので 入念に準備をしていたのに 渡英直前、不測の事態発生。 そしてそれがきっかけとなり、 高校生の初海外にしてはハードな日々に! ずいぶんと残念な思いもして 思い描いていたことと異なることも多かったに違いない。 でも、彼女が持ち帰ったスケッチブックからは ロンドンの懐にえいっと飛び込み 明るい面に目を向け、楽しもうとする姿が見てとれ そのたくましさを、嬉しく思った。 実際、いい顔をして帰ってきたのだ。 今は既に、ロンドンが恋しいそうで、 飽きるどころか、ようやくその魅力の入り口に立ったところだろう。 お楽しみは、これからだ。 臆せずに、どんどん新しい扉を開ければいい。 「あらゆる出来事の最もよい面に目を向ける習慣は 年間一千ポンドの報酬よりも価値がある」 ジョンソン氏はこうも言っているけれど、 あなたには確かにその好ましい素質がある、 母はそう思うから。 *ロンドンの風景写真は娘のアルバムから。 (2019.8.31) |