Carrot Cake

  
 

人参とバナナも入ったキャロットケーキを
娘の1歳の誕生日に焼きました。
すりおろした人参が1本入っているのですが
お味はほとんどバナナケーキ。
チーズクリームをラフに(でも厚みたっぷりに!)のせた
こんなケーキ、
よくイギリスの店先で見かけましたっけ。

人参といえばうさぎさん、
そしてイギリスのうさぎといえば
やはり ピーターラビットでしょう。
今年は生誕100年ということもあり
本屋でも ピーターシリーズの作者、
ベアトリクス・ポターのコーナーなどを見かけます。
やわらかな色彩で描かれた
美しい湖水地方の自然と 愛くるしい動物たち。
手のひらサイズの絵本は
つい手にとってしまいたくなるかわいらしさです。
しかし、その実、
文章も絵も、生き物の生態に忠実に描かれており
内容は 時にシビア。
「めでたし、めでたし」に終始しない展開に
子供の頃は 少し腑に落ちないような
煙にまかれたような気持ちになっていました。
大人になり、少しながらも
ポターという人を知り、イギリスという国を知った今は
そういう展開こそが、この作品の魅力!
少しずつ、このシリーズを集めていっているところです。
 

ポターの作品では
自然の中で暮らす動物達が
写実的に描かれていますが、
町の中で働く くまさんが主人公、
ストーリーも絵も はっきりと明快でありながら
別の意味でブリティッシュテイストたっぷりな
これまた愛すべき絵本があります。
 


 

フィービとセルビ・ウォージントンによる、
くまさんシリーズ。
「パンやのくまさん」「ゆうびんやのくまさん」
「うえきやのくまさん」「せきたんやのくまさん」*
登場するのは 
しっかりしていて働き者のくまさん。
かわいいくまさんがパンを作ったり、手紙を届けたり・・・
それだけで子供達はきっと楽しいでしょう。
 又、大人の目でもってみると
ひとりで暮らし、仕事をきちんとこなしながらも
ちゃんと自分の時間や生活というものを持っている彼の
丁寧な暮らしぶりに
思わず見入ってしまいます。
 

そして、また物語に登場するひとつひとつが
なんとも ブリティッシュ!
町並みや家の造り、
パブの看板や窓のデザイン、
生け垣や庭の様子。(庭のロープに干された洗濯物!)
ホーローのキッチン用品、コーニッシュブルーのジャグ。
ドレッサーやマントルピースの飾り方。
そして、人々の洋服や雰囲気など
細やかな所まで
「そうそう、こんな感じ」と
イギリスを思い浮かべながら
なんとも嬉しくなってくるのです。
 


 

クリスマスが近いので
「ゆうびんやのくまさん」より このページを。
昼間 町の人達に小包を届け終わった後、
自宅に戻って お風呂に入り
‘だんろのまえで ばんごはんを たべながら
くまさんは、「ぼくに きた こづづみには
なにが はいっているのかな」
と、かんがえ’ているシーンです。
この後、彼は二階に上がって、靴下をつるし
すぐに小さなベッドで寝入ってしまうのですが
挿し絵を見ると、
「サンタさんへ どうぞおのみください」というメモを添えた
カップとお菓子ののったお盆が
ちゃんと用意されているのがわかります。
こうして 1ページ、1ページの絵を追うのは
まるで宝探しの気分。
あちこちに散りばめられたブリティッシュネスと
くまさんの誠実さを見つけながら
読む毎に ほんわかやさしい気持ちになれる
大好きなシリーズなのです。
 

*(いしい ももこ やく /福音館書店
世界傑作絵本シリーズ・イギリスの絵本)

*「ぼくじょうのくまさん」のみ、
フィービとジョーン・ウォージントン さく・え 
まさきるりこ やく/童話館出版

(2002.11.29)

 

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