Roast Beef
for Christmas 2003



今年のクリスマス、
メインは英国料理の代表選手、ローストビーフを作りました。
オーブンではなく鋳物のお鍋でじっくり火をを通したお肉は
しっとりとした焼きあがり。
玉ねぎの旨みがつまったマスタードソースでいただきます。
そして付け合わせ、
と同時に娘用のメイン料理は
きのことチーズのクレープグラタン。
チーズクリームで和えたきのこや鶏肉をクレープに包みオーブンへ。
やさしい口当たりが
ぴりっとしたソースのローストビーフとも好相性で
あわてて決めた割にはなかなかまとまりのよいメニューになりました。


 

デザートには、トライフルを。
Trifleとは、‘とるにたらないもの’という意味。
残り物や家にあるもので簡単にできるので
こんな名前がついてはいるものの、
工夫次第でバリエーションの広がる
美味しい英国のデザートのひとつです。
基本的なレシピとしては
ひとくち大に切ったスポンジケーキやカステラに
シェリー酒やジュースをしみこませ
その上に、フルーツやクリームを合わせる、といったもの。
古くは18世紀からあるお菓子だそうですが
あまりクリスマスらしいとはいえないかもしれません。
星形のパイナップルを飾って
どうにか それらしい雰囲気はでたでしょうか・・・


こちらは、イギリスのお母さんアンのトライフル!
大きな器にたっぷり作って
みんなで取り分けていただくのです。
この迫力のトライフル、
アンと友人のオリバー
そして、私達夫婦の4人で
ぺろりとたいらげてしまったんですよ。
英国のカスタードクリーム、生クリームは
甘みをぐんと抑えてあるので
見た目よりうんと軽いデザート・・・
なんて言い訳は通じませんね。


今年は12月に入って
家族そろって風邪をひいたり、
細々と気がかりなことが続いたり、と
なんとなく落ち着かない毎日を送っていました。
ですから、ただただ浮かれて過ごすいつものこの季節とは違い、
少し特別な思いでこの日を迎えた私です。
家族3人、ツリーを見上げながら歩き回ったクリスマス前の寒い休日。
ごったがえすスーパーでクリスマスの食材を選びながら
大きなカートを押した時間。
そして
皆元気にクリスマスの食卓を囲めるしあわせ。
これまで当たり前のように受け止めてきた
そのどんなシーンもが大切で、愛おしくて。
そんな時間はサンタさんでも届けることのできない
私にとってかげがえのないプレゼントなのだということを、
心から感じています。


英国の作家、チャールズ・ディケンズは
「クリスマスキャロル」という短編の中で
強欲で傲慢な老人がクリスマスに改心するという物語を描いています。
改心、というほど大それたものではありません。
けれども今年のクリスマスシーズンに
私の中で芽生えた思いは
謙虚になる、という点において、
それに近いものがあったように思うのです。
ほのかに甘く香る蜜蝋のキャンドルの灯りの中、
この気持ちを忘れずにいよう、
そう、強く強く思いました。

(2003.12.24)


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