英国小景
ナンダ、ナンダ?
10月の街角でいきなり目の前に現れたるは
見覚えのある、愛すべきこの形。
クリスマスプディング!
ドライバーに追跡命令を出し
助手席からカメラを構える。
見失わないよう、
しっかり後をマークして
行き先 変更。
町並みなど もう目に入らない。
The Adventure of the Christmas
Pudding?
そんな小説があったっけ。
風まかせの気まま旅、
つられてこちらも冒険だ!
クリスマスプディングが
一体どこへ行くのやら。
しかと見届けてやろうじゃない。
往来激しい町はずれ。
大きなラウンドアバウトで
結局は見失ってしまったけれど
今頃は、英国中あちこちでスタンバイしているに違いない。
そしてイヴには青い炎に包まれて
人々の頬を照らすだろう。
切り分けられたプディングには
宝石が入っていたりして!
街角のクリスマスプディング。
小さな冒険をありがとう。
今度はイヴの夜、
食卓でお会いしましょう。
*クリスマスプティングは中世より伝わる
ドライフルーツや牛脂の入った
イギリス伝統のクリスマス菓子。
一ヶ月以上も前から準備され、当日 茹でた後、
ブランデーでフランベしていただく。
ルビーがプディングの中に隠されるという
アガサ・クリスティーの小説でも有名。
Winchester 2000