Blue Willow のある食卓 vol.14
どんなものと合わせても
いつも新鮮な驚きをくれるブルーウィロウ。
はっとさせられる瞬間を
暮らしの中から切りとって。
ロンドンはピカデリーにあるHatchardsは 1797年創業という老舗の書店。 王室御用達にもなっていて 木造の店舗は、どっしりとした風格を備えています。 帰路、重いことは分かっていたのに この店で見つけて、どうしても買わずにはいられなかった三冊の本。 それが 英国の‘野花、樹木、野鳥’についての図鑑です。 なんといっても、絵が素晴らしい! 対象に忠実に描かれた植物や鳥を見ていると 自然の造形はこんなにも繊細で、美しいということに ため息がもれてしまうほど。 葉っぱ一枚一枚にも、その色や形、生育地や歴史など 個性があり、物語があり その奥深さは 神秘的とも思えます。 一度開くと、しばらく目が離せないお気に入りの図鑑。 正直に言うと、これまでは図鑑として活用するよりも 画集として楽しむことが多かった三冊ですが 近頃、本来の役割も少しずつ果たしてくれるようになりました。 例えば、クランベリーが入っていたフルーツグラノーラ。 この赤い実は?とたずねられるや否や、 それきた、とばかり、これを取り出してきます。 実物そっくりに描かれた絵を見て、ちょっとばかりお話して。 そして、ストロベリーに始まり、ブルーベリー、ブラックベリー、カウベリー ラズベリー、スノーベリー、ビルベリー、クロウベリー・・・・ ベリー類だけでもこんなにあるんだねえ。 娘がグラノーラに戻っても、私はしばらく本の世界です。 どっさりのポテトだって、茹でただけの野菜だって、どんとこい! 評判のよろしくない英国料理も もりもり たいらげる私です。 ・・・・でも、実はシリアルだけは苦手。 B&Bの朝食時も、こればかりは遠慮します。 したがって フルーツグラノーラも、食べるのは万蔵氏と娘のみ。 シリアル好きの父に似たのか、 さくさくさくさく、勢いよく食べたかと思うと おもむろにウィロウを持ち上げて牛乳もぜ〜んぶ、飲み干した娘。 それはいいけれど、お嬢さん、腕にシールがついていますよ! (2004.8.20)
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まずはウィロウに謝った方がいいかもしれませんね。 ブルーもほとんど見えないほど 積み上げられた 殻、殻、殻! でも、これも夏のお役目のひとつなのです。 枝ごと買ってきた枝豆。 ほっくり塩ゆでにして ビールのお供に。 人それぞれに強く好みがあることですから 本を誰かに勧めるということは あまり得意ではありません。 でも、時々 どうしても、どうしても勧めたくなる本に出会うことがあり そういう時、私の熱烈な口説きを受けるはめになってしまうのは 他でもない ダンナさま。 昨年の夏は、フードジャーナリストの平松洋子さんの本でした。 知的 且つ ユーモアのある歯切れの良い文章で語られるのは 徹底的なリサーチと経験に基づいた「食」やそれをとりまく様々なエピソード。 そのジャンルに興味があるなしに関わらず、読み物として絶対に面白い、と 彼をすっかり平松ワールドに誘い込んで、 結局は二人してその魅力に夢中になったのでした。 さて今年。 お盆休みを迎えた彼に、私は一冊の本を持って近づくのです。 石田千さんの「月と菓子パン」(晶文社)。 彼女の文章の魅力を、はて、どう説明してよいものか。 私達は確かにひとつの世界に住んでいるわけだけれど 世界というものは 見る人によって、こんなにも、見え方も見る場所も変わってくるものなのだと 何気ない路地裏が 俄然、色を帯びてくる気さえします。 それは鮮やかな色彩ではなく、どこかセピアを帯びた懐かしいトーン。 「とうふや巡礼 春雨泥棒 アキバ植物園 相席日和 弁当大尽・・・」 移りゆく年月と季節の中で、ゆるゆると語られる暮らしの風景に そこはかとなく流れる情緒。 それは決してしめっぽいものではなく、むしろ からりと清々しく。 こんな文章を書く人を、初めて知りました。 新しい文章に巡り会えたようで、少しばかり興奮気味です。 石田さんは、居酒屋と銭湯がお好きなのだとか。 喉が鳴り、お腹がすくエッセイも多々あります。 ビールと枝豆。 これも 彼女の文章を読んでいて いても立ってもいられなくなったものなのです。 お店の開く時間を待ちわびて いざ! 不精者の私が、炎天下の買い物に繰り出したのですから その力たるや相当なものです。 (2004.8.12) |
美味しい‘かしわめし’を作るために必要なもの。 お米、鶏肉、ゴボウ。 そして なんといっても決め手は、濃い口で甘いお醤油。 絶大なるオススメに後押しされて、ゑびす醤油を使ってみると・・・ うん、確かにこのお醤油でなければ この味はでないかも。 しっかり甘口なので、お醤油とお酒以外、調味料は必要ありません。 これで具材を煮て さっと味をつけたものを 固めに炊いたご飯に混ぜるだけ。 これが本当に美味しいんです! 馥郁としたお醤油の香りに、大きめに切った鶏肉とゴボウの歯ごたえ。 具も味もシンプルにして、これ以上はないという完成度。 新しい料理にどんどん挑戦することも楽しいけれど、 我が家の味、と確実に言える料理を ひとつでも、ふたつでもものにしてゆけたらな、と思う今日この頃。 これまでも いろんなレシピを試してきた末、 我が家の‘かしわめし’は、この味に決まりました。 因みにこの味、この具材、この作り方は、九州のものなのだそう。 やっぱ、九州にはうまかもん、多かね! 翌日は おにぎりに。 これも、また美味しい。 秋の遠足だとか、運動会だとか、 普通のおにぎりの横にこれがあったら嬉しいよね・・・ なあんて将来を思いながら、はりきってにぎってみたのに 娘ときたら、こちらが促すまで ウインナーばかり食べ続けていました。 ママ、泣くぞ。ウィロウも泣くぞ。 (2004.8.5)
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