Blue Willow のある食卓 vol.15
どんなものと合わせても
いつも新鮮な驚きをくれるブルーウィロウ。
はっとさせられる瞬間を
暮らしの中から切りとって。
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バッキンガム州の封筒に入った結婚証明書。 それと同じくらい大切なのが、一枚の写真。 イギリスのお母さん、アンと私が ウィンザー城の石壁の前で笑っています。 この写真を撮ってから、結婚証明書を手にするほんのひと月の間に、 語り尽くせないほどの、大変なことが起こりました。 日本にいた婚約者の彼にも、家族にも それを言えずに、ぎりぎりまで問題を抱え込んでいた私。 苦しみを一番身近に見て支えてくれたのは 他でもない、アンでした。 仕事を休んで、私の手を握っていてくれたことも。 無事に結婚式を迎えられた時、 「奇跡みたいだわ」と 涙してくれた姿、 そして、沢山のリボンで飾られていた家の壁や庭の木々を 私は忘れることができません。 笑顔よりも、もしかすると涙を多くみせてしまったかもしれない・・・ だからこそ、二人して笑顔のこの一枚は 証明書と同じくらい、私の宝物なのです。
アンティークが好きだったアン。 キャビネットには ご自慢のコレクションが並んでいました。 ウィロウパターンのプレートも。(左写真、右下) 一見同じように見えても アンのお皿はスポード社のアンティーク。 私のは ファクトリーショップで求めたもの。 格は違いすぎますが、惜しみなく普段使いにできるというもの。 秋一番、 今日は生クリームを加えた、リッチなスウィートポテトパイを! (2004.9.27) |
展覧会のご案内。 9月8日より、‘ギャラリー東京映像’にて 河田ヒロさんの作品展が開催されます。 イギリスへの愛情に満ちた優しい文章と、 センス溢れるイラストやコラージュが綴られた その著作「イギリス暮らしの雑記帖」は、私の愛読書。 どのページも、どのページも 思わず付箋したり、線をひいたりしたくなるほど うなずいたり、共感したり、胸の奥がきゅっとしめつけられる想いだったり。 イギリスの何に惹かれ、どこが好きなのか、という根本のところで 自分自身の気持ちと 近いものを感じてしまう・・・ 畏れ多くもそんなことを思っていた私に、 ヒロさんはこんな言葉をかけてくださいました。 ‘「イギリス」ってひとくくりにされますが、人それぞれに いろんな印象があって、 でもそれをまとめている鍵は、 ふしのさんも書いているように 「懐かしさ」だとあらためて思いました。’ きっと、これから始まる展覧会でも 懐かしさに通じる、ヒロさんのあたたかな世界が 心ゆくまで堪能できることでしょう。 秋の夜長、というにはまだ少し早いけれど 今夜は、ウィロウの絵本と(キャンドルの後にぼんやり写っていますね。 こちらも いずれ紹介したいと思います) もうすでに何度もページをめくった ヒロさんの本をもう一度。
「イギリス暮らしの雑記帖 a Little piece of England」 河田ヒロ・KKベストセラーズ 巡り来る季節の中の、色、形、におい。 想像力と創造力に深く訴えかけててやまぬ、 その文物、自然、風景。 イギリスという国をつくるlittle piecesこそが なにより愛おしく、大切にしたい物として 心を揺さぶってくる、 そんなイギリス暮らしです。 (2004.9.4) ( |
いつのまにか、夜は鈴虫の音に囲まれている。 夏の盛りには、その存在を思い出すことさえなかった ほっこりと香ばしい口当たりが ふいに恋しくなり お久しぶり、とばかりに 買い物の途中、贔屓のほうじ茶を一袋、カゴに入れた。 晩夏は、どことなく無口を誘う。 ひと夏の疲れ、いくつかの思い出、眩しくも勢いの衰えた日差し。 そして、終わりの安堵感と一抹の淋しさ、のようなもの。 夏が 勢いのある、エネルギーに満ちた季節だからこそ、 その終わりは、こんな複雑な寂寥感を伴うのだろうか。 そんなことを考えながらの、帰り道。 小さなブーケに目が留まった。 晩夏、というより初夏の色合い。 売れ残りのサマーセール品を除けば、 秋の色で彩られ始めた町の中にあって、 それは、はっとするほど瑞々しく、目に染みた。 その明るさと清涼感が 晩夏のだるさとほてり、そしてメランコリーを、 ひんやり鎮めてくれそうで。 ほうじ茶とブーケを抱えて 夕風の吹き抜ける住宅地をゆく。 新しい季節と去り行く季節を共に連れて、家路を急ぐ。
(2004.8.25) |