Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
‘これはねがいごとの、お話です’
バーバラ・クーニーの挿絵が印象的な絵本「クリスマス人形のねがい」は そんな風にはじまります。 強く、強く、願いを叶えたいと思う女の子が 奇跡をおこす物語。 クリスマスの日の食卓に描かれているのは、ウィロウでした。 (ルーマー・ゴッテン 文/岩波書店)
(2004.12.25) |
母校のエンブレムの模様のついたチョコレート、 十分な身内びいきは承知の上で、 スクールグッズならではの特別感が なんとも気持ちをくすぐります。 チョコレートが入っていたのは、スクールカラーの紫色の箱。 懐かしくなって、同じく紫色の卒業アルバムを出してきました。 卒業が1994年ですから、もう10年の前のものです。 何より思い出深いのが、ゼミで撮った写真。 卒業論文は小林章夫先生の‘イギリスにおけるアマチュアリズム’という イギリス文化のゼミで書きました。 日本ではあまり好意的には用いられないアマチュアという概念は イギリスを語る上で、非常に重要なキーワード。 政治・芸術・スポーツなどいろんな分野において アマチュア精神は尊重され、 イギリス人の価値観や文化の中で大きな役割を果たしています。 その精神を遡ると、行き着くのは18世紀。 私がテーマに選んだものも、 この時代から19世紀にかけての’ジェントルマン・アマチュア’と呼ばれる人達のことでした。 ゼミに入る前から著作を何冊も読んで 是非、この先生の下で卒業研究がしたい・・・と願っていた私、 ゼミのはじまる4回生を待てず、 3回生の分際で「今年の先生のゼミにも参加させてください!」なんて 今、考えたら顔から火がでるくらい大胆なお願いに研究室に伺ったこともありましたっけ。 ぼんやりしているくせに、好きなことには猪突猛進、 これは10年前も今も、あまり変わっていないようです。 そういえば、ウィロウをはじめて買ったのもこの頃、 もう随分前に割れてしまったけれど 確か、NIKKOかどこか、日本製のもの。 日々の食料雑貨を買い出しに行っていた、ごく普通のショッピングセンターで買いました。 めいっぱい背伸びして、憧れて‘イギリス’を追いかけていたあの頃。 ウィロウについて多くを知っていたわけではありませんでしたが イギリスでよく見るあの器・・・ そんな親しみでウィロウを選んだのでしょう。 その数年後、ソールズベリーのアンティークショップで本格的にウィロウと出会うことになり そして今、こんなページを作っているなんて! 明日はクリスマス イヴ。 キリスト教の母校では、 今年もまた、コンサートや特別礼拝など行われるのでしょうか。 卒業時は、なんて重くて(厚さ5センチ!)、高価なんだろうと思っていた卒業アルバムも クリスマス時はじめ、四季折々のキャンパスや 京都ならではの行事や名所旧跡の写真までもが豊富に収められていて 今は 見ていて飽きることがありません。 懐かしく、懐かしく、 母校を、京都を思う夜が更けてゆきます。 *小林先生のご専門は、18世紀の英文学。 専門分野から、エッセイまで、英国に関する著作は数多くあり 興味深いものばかり。 パブについての本も出版されています。 ’作家がいる、貴族がいる。労働者、商人がいる。 傾けたグラスから、政治が経済が、文化が生まれていく。 全土にひしめいた民衆社交場から 大英帝国の400年を読む’ ー「パブ・大英帝国の社交場」の表紙よりー (2004.12.23) |
火曜日。 空はどんよりと曇り、いかにも寒そう。 12月だものなあ、としばし窓の外を見やるも、 「えいやっ」と心を決めて一歩おもてに出ると 新鮮で冷たい外気が、心地よい。 マフラーに埋もれつつ、何度も大きく息を吸い込む。 こういう日は、意外と外の方が寒さを感じなかったりするものだ。 自転車をこぎ出せば、先ほどまでの億劫な自分はどこへやら。 葉を落とした街路樹、町行く人達の冬の装い・・・ 目に入る冬時間な景色が、どれもこれも嬉しくて 冬はいいねえ、なんて都合よく娘に話しかけている。 すっかり遅くなってしまったクリスマスカードを ようやく郵便局に持って行き ほっと安心。 他の用事も済ませて、帰途につく。 ドアを開けると、おうちの匂い、おうちのあたたかさ、 ほんの1時間ほど前の我が家なのに、 このほっとする感じは、どうだろう。 やっぱり冬はいいなあ。 外に出たとき、家に帰りついたとき。 それぞれに、小さく感激できる。 夏だとこうはいかないもの。 買い物袋を下ろし、ゆっくりと手袋をはずす。 ウィロウでコーヒーを一杯。 木曜日。 なんたる青空! どこまでも広がる雲一つない青空に、町並みが冴え冴えと明るい。 コンビニのちゃちなクリスマス飾りも、空腹時の渋滞だって許せちゃいそうな気分。 助手席の窓を開けようとして、おっと、あぶない。 この窓、万年故障中につき、一旦開けようものなら大変なことになるのだった。 そんな車なので、CDもMDも無縁。 音楽はカセットテープで 子供と一緒に楽しめる曲が満載のWee Singシリーズより、We Sing For Christmasを。 ぴかぴかの青空の下で、クリスマスソングを、いくつもいくつも聴き、歌う。 不似合いのようだけれど、これが案外いい感じ。 ♪Go tell it on the mountain〜とアクセルを踏み ♪Jingle Bells〜と娘とハモる。 赤信号で止まったときは♪O COME ,ALL YE FAITHFULのイントロに 妙にあらたまって 空を仰ぐ。 テープに入っているのは、ゆうに50曲以上。 クリスマスという日の為に、こんなにも沢山の音楽があることに あらためて、この日の大きさを思う。 全く違う文化圏で、こんなにのんきに歌ってはいるけれど これはこれで、幸せなことだ。 たくさん走って、たくさん歌った午後も ウィロウでコーヒーを一杯。 金曜深夜。 一週間の主だった予定も終わり、リラックスした気分でモカマフィンを焼く。 クリスマス映画のサントラを聴きながら、 深夜、ひとりで ただ黙々と、作業に集中する。 「娘のクリスマスプレゼント、何がいいかな」 途中、起きだしてきた万蔵氏と、ぽつり、ぽつり話をしながら それでも圧倒的に静かで、オーブンからほのかにいい匂いのする、冬の夜更け。 一年でこの季節だけ、のクリスマス仕様のお部屋。 ウィロウの大皿いっぱいの、マフィン。 なんてことないけれど、満ち足りた幸せな気持ちになる。 さあ、明日のお楽しみ。 なにしろ、朝から晩まで、まさしく浴びるほど飲む私。 いえ、コーヒーのことですが。 「カップを洗う暇もない!」というのは‘不思議の国のアリス’の 狂ったお茶会のセリフだったと思うけれど 私の場合、ウィロウを洗う暇もない! そのくらい、コーヒー好き。 そういう苦いコーヒーに合う、甘いお菓子がとても食べたかったのです。 念願かなって、アイシングまで施したあまいあまいモカマフィン。 して翌朝。 わ、コーヒー切らしていた。 この時の落胆たるや・・・・ ああ、しかしこれが私なんだなあ! 娘の描いたうさぎさんの絵も、 100均の赤いフレームに入れて クリスマス飾りに。 今しか描けないんだなあ・・・と思うと このラインが、その表情が、なんとも愛おしい。 (2004.12.10) |