Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
英国パンとジャムで 秋のランチパーティー。 友人の旦那さまお手製のスモークチーズも加わって シンプルにして、贅沢な食卓です。 ジャムはWendy Brandon。 ウェールズの自宅で、ウェンディさん自らが作るこのジャムは 今や、リッツはじめロンドンのホテルでも供されるほどの人気の味。 代々受け継がれたレシピを元に手鍋でじっくり作るので 出来上がりの量に限りがあり、幻とも言われているのだとか。 友人が手に入れてくれたので それを存分に味わうべく、パンは、Baps&Bunsさんにお願いしました。 こちらはまっすぐで誠実、気取りのない英国パンを作っていらっしゃるお店です。 定番のマーマレードやベリー類はじめ、 ルバーブや、ローズペタルゼリーなど、 果物の美味しさがぎゅっと凝縮されたジャムは さすがに美味しい。 なにしろ、通常ジャムを作る時の何倍もの果物を使っているのだそう。 英国の農家を模した白パン「ファームハウス」にのせて いろんな味を食べ比べました。 (2006.9.30) |
ほぼ毎日、車を走らせる並木道。 背の高い木々を通して、 朝には、朝の新鮮な、 午後には、午後の傾きかけた 初秋の陽射しがフロントガラスに踊ります。
エルガーの「弦楽セレナード ホ短調作品20」
とりわけ、 優美な二楽章を聴きながら この並木道を通るのが 最近の楽しみです。 エドワード・エルガーは、19世紀から20世紀にかけて活躍した イギリスの作曲家。 ロンドンで成功を収めたものの 都市の暮らしが合わずに コッツワルズ地方に住まいを移したのだそうです。 弦楽セレナードは初期の作品ですから コッツワルズと直接関係はないのでしょうけれど 二楽章の旋律は、 ゆるやかに起伏するコッツワルズの丘陵にも似て 親しみやすさと、懐の深さと併せ持つ 気品あるメロディー。 澄みきった 少し冷たい風が 一抹の切なさを残してゆくような叙情性も この季節に似つかわしく思います。
「実りの季節を迎えたコッツワルズの丘は
今ごろ金色に染まっているのかな・・・」 そんなことを考えながら さくっとした黄金色のリーフパイでティータイム。 あたたかいお茶も そろそろ美味しくなってきました。 これから深まる秋に向かって 並木道の木の葉が 色を変えてゆくのが そのアーチをくぐりぬけて走るのが 今から楽しみです。 |
「わたしが年をとって、 おばあちゃんになって、 いつか 死んでしまったら、 わたしのこころは どこにいっちゃうの? こころは きえてしまうのかな・・・」 じっと考えこんで ふと、こんなことを漏らしたりする 娘、4歳。 一方、自慢そうに持ってきた絵をみると、 ハイヒールをはいた娘が ダンゴ虫を手に、にっこり、の図。 ハイヒールにダンゴ虫とは! ‘おねえさんぽくて、おしゃれなもの(=ハイヒール))も 園庭でダンゴ虫のおうちを作ることも 同じ次元で自然に好きでいられる、 4歳って、そんな年。 風邪ひとつひかず、元気に登園した一学期。 お弁当箱のサイズも一回り大きくなり 日焼けした笑顔には、逞しさも感じられます。 ちょっぴり豪華にエビも入れて、 トマトクリームのパスタランチで、 一週間の夏休みのはじまり、はじまり。 ウィロウの器を前に、私がカメラを構えると フォークをさっとお皿にのせて一言。 「こんな感じがいいんじゃない? 今から食べますよ、というふうに見えるでしょ。」 娘が0歳の時に始めた、この‘Everyday with Blue Willow’ 一緒に綴れる日も案外近かったりして! (2006.8.19) |
にわかに空がかき曇り
なまあたたかな風にあおられて 黄色く変色したシュロの葉が、大きく回転しながら落ちていった。 ほどなく大粒の雨がたたきつけるように降ってきて 水と土、そしてアスファルトが混ざり合った匂いが 足下からむうっと立ちこめる。 自転車の人達は、スピードを上げ 駄菓子やのおばあさんは店先のよしずを立て直している。 花模様のワンピースからのぞく白い腕に ふっと、郷愁を呼び起こされる。 子供の頃は、 今よりもっと夕立が多かった・・・ と思うのは気のせいでしょうか? ピッチャーいっぱいの麦茶や 氷を浮かべたカルピスが あの頃の定番。 遊びに行くと たいていどのお宅でも出してくれて それぞれに、少しずつ味が違ったっけ。 日曜日の、夕立。 甘みがでるまでしっかり炒めた玉ねぎのキッシュを焼いたら 麦茶やカルピスもいいけれど やっぱり、スパークリングワインの栓を抜きましょう。 しゅわっと泡立つグラスに 遠い夏を透かして、しばし。 瞼も気持ちも やんわりとろけて 夢の中に遊ぶこと、しばし。 目が覚めた時には、 雨はやみ 空の彼方に入道雲。 今日最後の陽射しは、 グラスの底に残った 儚い金色。 (2006.7.23) |