Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
「ママ、チョコちゃんクッキー作るんだね。」 広げていたレシピのページをのぞき込みながら、娘が嬉しそう。 「ん?」私の方は一瞬のとまどい・・・ そして、思わず笑ってしまいました。 作ろうとしていたのは、ラフに砕いた板チョコレートを生地に加えて焼き上げる ‘チョコチャンククッキー’だったのですから。 なんてかわいい勘違いでしょう、 ‘チョコちゃんクッキー’に改名決定です! チョコちゃんクッキーが焼けたなら、お茶の用意を。 普段よく利用しているのは、リプトンのピラミッド型のティーバッグで 以前はリーフが入っていた、ノスタルジックな色合いの いわゆる「青缶」に常備しています。 カップをしっかり温めておき、蒸らす時に蓋さえしておけば いつも安定した美味さ、 忙しい時にも助かります。 最近読んだ記事では「英国ではティーバッグ消費が96%」とのことでしたし アンの家でも、朝の紅茶はいつもティーバッグでした。 もっともアンは、私のようにカップに直接ティーバッグを入れるものぐさはせず、 ティーバッグでもちゃんとポットで淹れてくれていましたけれど。 さて、私がお湯を沸かしたり、オーブンをのぞ込んだりしている間、 「これ一枚もらっていい?」と娘が原稿用紙に何かを一生懸命書いています。 ちょっぴり自慢気に披露してくれた彼女の‘初原稿’ ひとマス、ひとマス、たどたどしい字で書かれていたのは 「アンティークのカップでのむこうちゃはイギリスのあじ。おいしいあじです。 きもちがハートになるぐらいです。すっごいうれしいあじもします。 せかいでいちばんおいしいです」 おやまあ! とりあえず、今日はティーバッグで淹れたお茶をたっぷり、マグでいただきましょ。 これだって結構、イギリスのあじ。おいしいあじよ。 チョコちゃんクッキーと一緒にいただけば まちがいなくきもちがハートになるね。 でも近いうちに、手順をふんできちんとリーフでお茶を淹れてみようね。 もちろんアンティークのウィロウカップを用意して。 (2007.4.1) |
足を向けて寝ることはできないなあ、と思うほどお世話になっているのは
町の図書館。 ちょうど娘の送迎ルートにあることもあり、 一週間に一度は立ち寄って、 立ち寄ったが最後、どっさりと借りてしまうのが常なのです。 気になる本の情報があれば、えっさ、えっさと、予約を入れて順番を待ちます。 毎回、自転車の前カゴは本の山、後部に娘、 更に、帰りにスーパーにも立ち寄ったりするものだから 友人には「見かけても声かけないね。バランス崩すとこわいもの!」なんて笑われる始末。 はい、見目麗しくなく、あぶなかしいのも十二分に承知しております・・・ でも、分かっちゃいるけど、やめられない。 そういえば、私にとって一番古い図書館の記憶もまた、 自転車の母の背中と共にあるものです。 図書館といっても 本好きの方が自宅の離れに作られた私設の小さなものでした。 古い作りの家で、いつも障子は開け放たれていたこと 畳に足を投げ出して本を読みふけり ふと目をあげると、青々とした田が広がっていたこと。 おぼろげながらそんな風景が残っています。 迷いながら借りる本を選びだし、ようやく帰路につく時、 母の自転車カゴもまた、ずっしりと重かったのでしょうか。 さて、そんなこんなの図書館通い。
このところ娘がとりわけ気に入っているのが日本の昔話です。 方言や昔ことばの面白さ、展開の突拍子のなさ、容赦ない結末は 確かにお話の楽しみの原点といえるかも。 ちょっぴりこわい山姥や鬼も、子供には気になる存在なのでしょう。 その昔ドキドキしながら読んだ「やまなしもぎ」や「さんまいのおふだ」を 私も懐かしく再読する毎日です。 美味しそうなお餅やお饅頭が登場する昔話に誘われて、 今日のおやつは、茶まんじゅう。 まだ湯気のたつ蒸したてのおまんじゅうを ほっくり二つに割っていただくのは、家庭ならではの贅沢です。 黒蜜の香り漂う皮に包まれているのは、 こし餡とクリームチーズ、そして干しアンズ。 和洋折衷のハーモニーは、ウィロウにもぴったり!? レシピは、もちろん図書館で借りた本にお世話になりました。 どんとはらい! (2007.3.17) |
記録的な暖冬だったとはいえ やはり冬は、冬。 日に二回、自転車で片道約20分ほどかかる娘の送迎から戻ると まずは熱い飲み物で こわばった体をほぐす毎日でした。 今年、とりわけ気に入っていたのが「ショコラ」。 甘いショコラの香りのお茶に、エルダーフラワーが少し混ぜてあり ミルクティーにすると美味しいのです。 エルダーフラワー(セイヨウニワトコ)は、英国ではお馴染みのハーブで 風邪予防などにもいいとのこと。 緊張の糸がピンと張っていたこの冬の お守りのような存在でもありました。 少しずつ陽射しが春めき、「もしかして花粉・・・!?」の症状を時折感じつつも 大事に至らないですんでいるのは 花粉症にも効くというエルダーフラワーのおかげかもしれません。 早い春一番もとうに吹き、 白木蓮の花が青空に映える、弥生なかば。 このまま春本番に突入するのかと思いきや、 また少し寒さも戻ってきました。 残り少なくなってきた「ショコラ」と共に 冬時間の名残を、しばし味わいたいと思います。 (2007.3.16) |
化粧品を購入したら、何かのキャンペーン中だったようで WILKIN&SONSのTIP TREE、ブラックカラントジャム、 手のひらにすっぽりおさまる ミニミニサイズです。 イギリスでお世話になったアンの家では、 朝のテーブルに、必ずこのミニジャムが数種類用意してありました。 いろんな味のジャムの小瓶が、少し深めの容器に無造作に入っていて お好きなものをどうぞ、というわけ。 選ぶ楽しさはもとより、 いくつもの小瓶を眺めているだけで なんだか楽しい気分になったっけ。 英国王室御用達のTIP TREE、 蓋やラベルのすっきりと端正なデザインも気に入っていました。 蜂蜜も美味しいんですよ。 小さな小さなジャムの、小さな小さな思い出です。 これは、アンの家のダイニングルーム。 左下の白い器に、TIP TREEのミニジャムが入っています! そのうしろのニワトリさんは、ティーコージー。 その前の赤い実は庭のプラムで、私の好物でした。 普段の朝食は、 キッチンのカウンターで簡単にすませていましたが この日は私の友達が泊まりに来てくれていたので ダイニングテーブルで ゆったりと朝食を楽しんだのでした。 (2007.1.27)
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ぐつぐつ、ぐつぐつ・・・ミートソースを煮込む冬休みの午後。 ミートソースを作ると 時々、思い出す人がいます。 どういう経緯で、ということは覚えていないのですが 高校生の頃、交差点を見下ろすお店で その人と食事をしたのでした。 当時の田舎町には珍しく 本格的なパスタを出してくれるお店で 運ばれてきミートソースは 母の作る人参やピーマンのみじん切りまで入り ケチャップで甘さを加えてあるそれとは全く別のものでした。 進学校にありながら、料理を志して卒業後は社会にとびだした異色の彼。 小さな隠れ家のような、きちんと美味しいものを出してくれるレストランは さすが彼の選んだお店だったと、今、あらためて思います。 おつき合いをしていたというわけではなく 私達は同じ部活に属していただけ。 ただ、他の誰もが本名で呼ぶ中で 彼だけは私を「ふしのさん」と呼んでくれていたのでした。 文章を書く際に初めて、「ふしの」という名前を使った文芸部。 もう、15年以上も前のことです。 年賀状のやりとりもなくなり、既に何年も経ちました。 お鍋の中のミートソースをかき混ぜながら ビルの二階にこじんまりとあった、あの小さなお店を思い出します。 少し背をかがめて入るペンキ塗りのドアや、窓際からの景色。 そして、今、私がこうしてサイトを持ち、 沢山の人から「ふしのさん」と呼ばれていることを なんだか不思議に思うのです。 彼は今もどこかで、美味しい料理を作っているでしょうか。 たっぷり作ったミートソースは まずは、フェトチーネで。 翌日のランチにはパンにのせてチーズがとろけたら いただきます! めずらしく、朝から雪模様の休日。 いつまでもいつまでも見ていたい、窓の外。 (2007.1.07) |