Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
今年もワレモコウの季節がやってきました。 毎年、この時期に聴きたくなるのは チャイコフスキーのヴァイオリン曲「なつかしい土地の思い出」。 とりわけ、第三部‘メロディ’は 琴線に触れる、という表現そのままに 心の奥底にそっと共鳴します。 まだ暑さの残る、でもすでに空が高く広がる初秋には この花と音楽が まるでセットのように恋しくなる私です。 猛暑の8月、 娘のバレエの発表会に向けた合同練習で 全身に鳥肌がたつような思いで受け止めたのも 同じく チャイコフスキーでした。 こちらは、物語の世界へ導いてくれる 壮大なバレエ音楽。 一瞬にして場の空気をがらりと変えてしまう 圧倒的な力があります。 熱気の充満した真夏の体育館で ダンサー達のお手伝いに駆け回りながら 汗が入って沁みる目をしばたかせながら それでも、その音楽の前で 暑さなど とるに足らないことに過ぎず。 チャイコフスキーという作曲家の、 そしてその世界のスケールの大きさを思い知らされたのでした。 ふっくらと美味しい干しぶどうが手に入りました。 太陽の恵みがぎゅっと凝縮された一粒一粒には パワーが詰まっていそう。 そのままで、蒸しパンに散らして 元気を一緒にいただきます。 発表会まであと二ヶ月。 練習の始まった冬、春、そして夏。 チャイコフスキーと共に汗を流した日々が 豊かに実っていくことを祈りつつ・・・ 秋は、チャイコフスキーに始まり、 チャイコフスキーに深まっていきそうです。 (2007.9.20) |
近所のスーパーマーケットで出会った京都‘飯尾醸造’さんのお酢。
そして興味を持って覗いてみたホームページで知ったお酢レシピの数々を 今やどれだけ頼りにしていることでしょう。 とりわけ、ゴボウと人参そして豚肉で作る 「すっぱい豚きんぴら」は私の大好物。 お酢のきゅっとした酸味と旨みがたまらず 冷めても美味しいので、お弁当にも最適です。 まだ夏の疲れをひきずる残暑の季節、 お酢には疲労回復の力もありますね。 お手持ちのお酢でも美味しく作ることができますよ。 今夜あたり 食卓にいかがでしょう? 飯尾醸造ホームページ *「すっぱい豚きんぴら」のレシピは‘お酢や母娘の酢料理レシピ’コーナーに 掲載されています。 「麻婆豆腐 お酢や風」もおすすめ。 ちょっとくせになる、定番とはひと味違った美味しさです。 (2007.9.12) |
薄暗い部屋の中
発光する携帯画面の日付が妙にはっきりと目に入った。 8月31日。 時刻はまだ朝の5時前だ。 8月のしめくくりは 友人家族三組で「おとまり会」をした。 部屋いっぱいに並べたお布団に 0歳から7歳までの、総勢6人の子供達が それぞれ天下太平に夢をみている。 母親三人は お酒のグラス片手に、膝をかかえて、寝ころびながら 結局は 夜を語り明かしてしまった。 窓の外には雨の気配。 このまま永遠に照り続けるのではないかと思われたほど 晴天の続く、暑い毎日だったけれど 先日からは、天気予報にも傘マークが並んでいる。 残暑は続けど、夏も一段落ということか。 そういえば、この日の為に花火を買いに出たものの すでにそれはほとんどの売り場から姿を消していて すっかり困ってしまったのだった。 ぼんやりしているのはこちらのみで 夏は 着々と終わる準備をしているのだろう。 さあ、もうすぐ、夜が明ける。 8月最後の一日が始まろうとしている。
「学生時代みたいだね」なんて笑って朝を迎えたのに
三十路半ばの体に、徹夜は響く! 帰宅後は、爆睡。 目覚めてなお重い頭と体で冷蔵庫の前に立ち 暑い盛りに買っておいたゼリーを発見。 金魚のかわいらしさになかなか開封できなかったけれど 食べどきは、やはり今夜でしょう。 お皿の上に載る、ゼリーに閉じ込められた夏模様に しばし夏の思い出を重ねて。 (2007.8.31) |
長い間、気になりつつも なかなか読む機会のなかった 「ドロシー・ワーズワースの日記」を読みました。 きっかけは、英国、湖水地方より届いた両親からの葉書。 ドロシー・ワーズワースは 英国ロマン派を代表する詩人ウィリアム・ワーズワース(1770〜1850)の妹。 ドロシーは兄と暮らしを共にして詩作を見守りながら 身の回りの世話をしたり、散策にお供したり。 これは、そんな日常の記録です。 ウィリアムの創作におけるドロシーの存在や。その影響は大きく 文学史の立場から見ると この日記も資料として価値があるもののようです。 けれども気儘にページをめくるそれは おおむね‘お散歩日記’。 彼らと共にめぐる四季折々の、朝な夕なの湖水地方は 両親の綴る、あるいは語ってくれるその印象と重なって 私を魅了します。 たとえば1800年、 今から207年前の8月の日記はこんな風。 22日 土曜日 午前中とてもよく晴れていた。 兄さんは午前中ずっと詩作にふけっておられた。 私はエンドウの皮をむいたり、ソラマメを取り入れたり、 12時半まで庭で仕事。 それから兄さんと森を散歩。 陽が照りわたり、木々はさやいで枝々を光らせ 湖も晴れわたっていつになく輝いていた。 昼食のあとアンブルサイドへ行き-俄か雨にあったが- パートリッジ家を見に行った。 クラッパーズゲートを通って帰った。 ライダルの森を通るつもりだったが、寒くなり- 私は疲れて気分がすぐれなかったのだ。 帰ると早速お茶にし、暖炉に火を入れた。<以下、略> 「ドロシーワーズワースの日記」より メアリ・ムアマン 編 藤井やすこ 訳 (海鳥社) 「兄さんはショウガ入りパンがお気に入り」 なんていう記述も日記には残されています。 きっと‘Gingerbread’のことでしょう。 Breadと言えども、それはいわゆるパンではなく トレイで大きく焼いたり、型抜きしたりして作る 家庭的な焼き菓子。 今も皆に愛されているもののひとつです。 大の紅茶好きでもあったワーズワース。 ロンドンのトワイニング社には 湖水地方から届いた注文書が今も残っているそうですが お取り寄せの!?紅茶と 好物のGingerbreadで 創作活動のスランプも乗り越えたのかな・・・なんて考えながら 真夏のティータイム。 英国ではティーといえば、熱い紅茶。 アイスティーはあまり飲まれませんが 猛暑の日本では、冷たい紅茶が有り難い! 大きなポットで作る水出し紅茶がまたたく間になくなります。 薔薇のきれいな6月に英国を訪れた両親。
Dove cottageの外壁もご覧の通り、見事です。 花を育てることが好きな母は 英国の花がこんなに色鮮やかに見えるのは 澄んだ空気のせいかしら・・・ 何度もそう言っていました。 ロンドンのキューガーデン(王立植物園)にも行ったそうですが そういう場所でより、 民家の庭先や草原に咲く花々の方が英国らしく、心に残ったと話していたのが 印象的でした。 *風景写真は全て父が撮影したものを拝借しました* 上)Rydal MountからDove Cottageへ向かう道からの眺め。 両親も一時間弱かけてこの道を歩いたそうです。 中)Rydal Mount -1813〜1850年に暮らした晩年の家 庭の一部は彼自身が設計したとのこと。 下)Dove Cottage-1799〜1808年暮らした家 ここで多くの作品が生まれました。 (2007.8.18) |