Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
*12月のダイアリー* 12月9日 少し早いけれど、お正月のお餅つき。 作業は全て屋外でするので 容赦なく冷たい風が吹きつけてくるけれど そんな中、まだ湯気の上がるつきたてのお餅を やんや、やんやと皆で丸めていくのは なんとも楽しい作業。 「寒さもまた、正月餅の味!」とおじいちゃん。 いつも通り、蒸したてのもち米を一口ずついただき (こうすると風邪をひきにくいと言われているのだそう) いつも通り、成形する前のつきたてのつきたてを 大根おろしと酢でいただき、 いつも通り、こうして年の瀬がやってきたのだなあ、と思う。 毎年毎年繰り返されている「いつも通り」ということに なんともいえない安らぎと 手の中のお餅のような あたたかさを感じる。 帰宅して本棚から取り出したのは ヘレン・ブラッドレイの「ミス カーターといつもいっしょに」(暮しの手帖社) この本には、ブラッドレイ夫人が幼い頃(20世紀初頭)のイギリスの暮らしが 丁寧に描かれている。 なんでもブラッドレイさんは お孫さんに見せるために 60歳を過ぎてからこの作品集に取りかかったのだそう。 開いたのは「クリスマスの支度」の頁で 描かれているのはクリスマスの伝統菓子を作る様子。 窓の外には雪が舞っているけれど 部屋の中はさぞかし 熱気と甘いにおいに満ちているだろう。 そして人々は 気ぜわしさの中で それでもどこかわくわくしながら 「今年も暮れていくなあ」と思っているに違いない。 イギリスの12月の「いつも通り」の風景。 そうこうするうちに、我が家の小さな台所も
小豆の煮えるふくよかなにおいでいっぱいになって いそいそとお鍋の様子をうかがいに。 ついたばかりのお餅でおぜんさい・・・の夜。 12月15日 クリスマスベイキングに精を出すのは 今もブラッドレイさんの時代もそう変わらないのだろう。 現代のイギリスを舞台に子供達が繰り広げる楽しい物語、 OXFORD READING TREEシリーズの一冊にも そんなシーンが登場していて微笑ましい。 知る人ぞ知る、のこのシリーズ、 イギリスの小学校の実に8割で‘国語の教科書’として愛されてきたというだけあって 子供達の目が輝くような 多彩なトピックが満載。 学校や地域でおこる日常の暮らしの物語から、 手に入れた魔法の鍵(magic key)に導かれる冒険物語まで お話を存分に楽しみながらも stage1から段階的に語彙や表現を増やしていけるのだから その人気にもうなずける。 もともと娘の読み物として購読を始めたのだけど、今では親子とも手に取らない日はないほど。 全エピソード通して登場する子供達は、もはや娘にとってはまるで友達のような存在かもしれない。 一方、イギリス好きの私の目線で見ると、 「らしさ」にくすっと笑えるシーンが多く、 同時に、案外知らないイギリスの英語表現と接することもでき (怒るはangryではなくcross。スニーカーはtrainerをよく使う、など) 一粒で二度も三度も美味しい。 すでに100冊近く読み進んで、今日からstage7に。 届いた包みを開けてみてびっくり! 子供達が魔法の鍵と一緒にブルーウィロウの絵柄の中を旅する その名も「THE WILLOW PATTERN PLOT」という物語があったのだから! カーブーツセール*でウィロウのお皿を見つけた少年、 コレクションしているお母さんの為にそれを買って帰るところがお話のはじまり。 それにしても、このシリーズに登場するなんて 本当にウィロウはイギリスで’誰もが知っている’馴染みのパターンということの証だなあ。 *カーブーツセール(car- boots sale) 車のトランク(boot)にいらないものを積んで持ち寄って販売するがらくた市のようなもの。 (普段私達がtrunkと呼ぶ車のトランクをbootと呼ぶのもイギリス英語ですね。) 12月20日 昨夜は遅くまで、今朝も早くから サモサ20人分の仕込み。 行事があるごとにPotluck(持ち寄り)ランチになるので 約3年間のスクールライフで最も鍛えられたのはパーティー料理かな。 サモサと平行して焼き上げた定番のチョコレートビスケットには 赤と緑のアンゼリカでクリスマスらしさを。 子供達、喜んでくれるかな。 スクール最後のクリスマスパーティーでは 子供達が聴かせてくれたジョン・レノンの「HAPPY X' MAS」に、じんと胸が熱くなる。 なんとまっすぐでシンプルなメッセージなのだろう。 ♪A very merry Xmas And a happy new year Let's hope it's a good one without any fear 12 12月24日
クリスマス イブ 娘が折ったマリア様の表情が本当に優しく いつまでも見ていたくなる。 腕に抱かれた!?イエス様も なんだか丸いお餅みたいで ほのぼの・・・ でもよく見ると 古典紋様の千代紙を使ってる! 三並び矢のマリア様と、巴(ともえ)のサンタさん!! 今年のクリスマスケーキは
苺のピュレを混ぜて焼き上げた ほんのりピンク色のチーズケーキ。 静かな気分で迎えたかった今年のクリスマスにはふさわしかったような、 やはり もうちょっと華やかさがあってもよかったような。 歩く、歩く、歩く。 郵便局、コンビニ、公園(滞在時間ダントツ長し!) スーパー、図書館、全て歩いて巡っていく。 時間はかかるけれど、この冬はなぜか歩く気分。 年内にすべきことが ひとつひとつ片づいていくにつれ 更にどこまでも歩いていけそうな爽快感。 公園で見上げた冬木立。 こんな冬の景色が本当に好き。 すん、と澄んだ冬の空気が心から好き。 ドレッサーの上に飾ったクリスマスカードを片付け いつもの写真立てを並べると 少しばかりの名残惜しさと、どこかほっとする気持ちが交錯。 今夜、娘はお友達の家にお泊まりだ。 一人でのお泊まり会は初めてだけど へんてこりんな♪ママへのさよならの歌♪なんかを作って 足取りも軽く駆けていった。 そろそろ限界になってきたポシェットに 女の子達が大好きなキャラクターのカードを何枚も詰め込んで! 静かだなあ、少し寂しいなあ、 でも、いろんな事がはかどるなあ。 いや、油断ばならじ。 なにしろ私には小学一年生の時、意気揚々と泊まりに行ったお友達の家で 夜中に寂しくなって「家に帰りたい」と泣きだした過去があるのだから。 「迎えにきてあげてください」なんて電話がいつかかってくるとも限らない。 どうなるかなあ。 それにしても静かだなあ、 もうすぐ今年も終わっていくなあ。 年賀状もどうにか投函、一安心。 静かな夜は長くて・・・やっぱり少し寂しい。 |
とことん満喫したような、 同時に、すっぽりと記憶がぬけているような 不思議な感覚で今年の秋を振り返ります。 バレエの発表会を通して、 語り尽くせないほどの経験をしました。 いろんな意味で あまりに大きな出来事だったので 感情の振り子の調子が、少しおかしくなってしまったのでしょうか。 幕が下りてしばらく経った今も なんとなくまだ、ぼんやりとしています。 「早くツリーだそうよ!」 娘にせがまれて はっとする12月最初の週末。 気が付けば 街はクリスマス一色です。 いつもなら心躍る風景も 今年はどこか素通りしていくよう。 既に容量オーバーの心は 新しい輝きを求めていないのかもしれません。 できうるなら、低くたれ込めた12月の空の下、 そっと静かに過ごしたい気もするのですが こんなに待ちこがれられては そうもいきません。 懐かしいオーナメントやカードを見たら きっと私のクリスマスの気分も盛り上がっていくのでしょう。 「お茶を飲み終わったら、ツリーだそうね。」 同じ経験をしたのに 容量オーバー、お腹いっぱいなのは、私だけ。 子供の消化は早いのですね。 次なる楽しみに向かって、 鼻歌まじりで スキップ、スキップ。 新しい踊りはどんなふうかなあ・・・ サンタさんは何を持ってきてくれるのかなあ・・・ (2007.12.02) |