Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
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裏庭は小雨に濡れそぼり、 風にそよぐ緑の間に 黄色い蝶がときおり姿を見せる。 音色に誘われるように、 ひらひらと、ちらちらと 夢のように、現れては、消え、 また現わる。 秋がめぐり来て、 娘にとって4度目のバイオリンの発表会。 普段は、のんびりとした娘が バイオリンを弾く時だけは、凛々しく見える。 口元には意志が宿り、 指先は、確固たるなにかに導かれるよう。 4年前、 バイオリンの世界の扉を開けた時から 常に伴走者であったはずなのに、 日々、その傍らにいるはずなのに、 今やもう、彼女は私の知らないところにいる。 自らが音を創れるものだけが許された場所で 彼女だけの歓びを奏でている。 「弾いているときに、戻りたい!」 帰りの車の中でそう漏らした彼女に、 ガトーショコラを。 伴走者の喜びを焼きこんで キャンドルを灯すと すかさず椅子に登って来た息子が 「ハーピーバースデー?」 ううん、違うんだよ。 でも、一年に一度の発表会は その日を目指し鍛錬し、いくつかの壁を乗り越え、 新たな自分と出会える 誕生日であるといえるかもしれないね。 晴れやかで、輝きの一日。 そして、また明日からの新しい一歩に夢を馳せる一日。 おめでとう。 (2012.9.25) |
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