Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
春、夏、そして秋と三回に渡って行われた
文化講座「もっと知りたい竹久夢二」に参加して、 また、夢二への想いが確かなものになった。 岡山は、竹久夢二生誕の地。 講座は、夢二郷土美術館にて行われ 明治、大正、昭和、 それぞれの時代の夢二の仕事について 実際の作品に触れながら、お話を伺うことができた。 とりわけ、私が一番心惹かれる グラフィックデザイナーとしての夢二について学び 楽譜や広告など、多くの出版物を見ることができたのは 本当に心躍る体験だった。 時代と共に、夢二の作風は変化を遂げていく。 しかし、三回の講座を終えて見えてきたのは 形を変えながらも、どの時代にも共通している夢二の芯。 根っこの部分。 それは、「生活芸術」に対する彼の情熱だ。 額縁に入れて眺めるのではなく、 人々の普段の生活を彩るための、美しき佳きもの。 彼は自然や身の回りにモチーフを求め ひとりひとりが、自分の生活を慈しんでいけるよう 独自のセンスと叙情性、 ときにユーモアを加えた筆致で作品に仕立てた。 また、昭和に入り、大量生産が進むと いち早く、手仕事の質とあたたかみの尊さを説いたのも夢二だ。 その背景には、手工芸に価値を見出し、生活と芸術の統一を重んじた ウィリアムモリスの「アーツアンドクラフツ運動」 の理念がある。 イギリスこそ、産業革命による大量生産と消費から 多くを学んだ初めての国だった。 郷土美術館のおみやげ、夢二の愛した「ガルバルジイ」は ざっくりした生地と、 干しぶどうの甘酸っぱさが素朴な味わいのビスケット。 ストレートの紅茶によく合う。 夢二の作品に初めて惹かれたのは、中学生の頃。 きっかけとなった小さな絵も、まだ手元にある。 以降、惹かれ続け、縁あってゆかりの地に嫁ぎ、 彼の作品をより身近に感じることのできる今、 「夢二は、自分の中にある詩を絵にしたのです」 最終回で学芸員さんがおっしゃったひと言が 彼の作品の全てを語っているように感じている。 * 夢二郷土美術館は、 日本三名園のひとつ「後楽園」のほど近く、 屋根に風見鶏が回る煉瓦造りの建物です。 興味深い企画展はもちろんのこと 夢二デザインが活かされた文具など 売店も充実。 売店のみの利用も可能で、 ちょっとした贈り物を探す時、季節の一筆箋をきらした時など 頼りにしています。 この「ガルバルジイ」も郷土美術館オリジナル。 岡山にいらっしゃることがあれば 定番の吉備団子や大手饅頭もいいけれど、 こんなお菓子と、夢二デザインの文具なども 素敵なおみやげになるでしょうね! 夢二郷土美術館 (2012.10.20) |
そうだった、 こんなものだった。 簡単に思い通りに行くわけはない。 40年も生きてきて、すっかり学習しているはずなのに うっかり期待なんてかけてしまうとは 不惑が聞いて笑う。 あまりに、うっかりだ・・・ 萎えた心を奮い立たせて のろのろと台所仕事に取りかかったときだった。 「なにか 温かいものが飲みたいなあ」 外出先から戻った娘が 寒い寒いと、キッチンに入ってきた。 先刻、半袖で出かける背中に強引に持たせたパーカーを 今はすっかり着込んでいる。 ココアをいれてあげると うなぎの寝床・・・に失礼なら、 うなぎの稚魚の寝床とでも言えそうな 細長く狭いキッチンの奥、 冷蔵庫と小窓に挟まれたカウンターの前に スツールを持ってきて座り込んだ。 ココアを飲みながら、おしゃべりぽつりぽつり。 そういえば・・・ さっき自転車で帰っていたら おねえちゃん、おねえちゃん、って 急に呼ばれたの。 振り返ったら犬の散歩をしているおばあさんがいてね、 私に教えてくれたんだよ。 「おねえちゃん、後ろ見てみぃ。 夕焼けがピンク色ですごいきれいじゃろう」って。 そんなこと、知らない人になかなか言えないよね。 びっくりしたけれど、やさしくて心がほわぁってした。 本当にきれいな夕焼けだったなあ。 心を塞ぐものは変わらない。 夕焼けやおばあさんが 救ってくれるわけでもない。 でも、頬がふ、と緩む。 包丁の刻むリズムも 少しだけ軽やかになったかもしれない。 そうだった、 こんな風に人生は続いていくんだった。 沈みこんで、ゆっくりゆっくり浮き上がって、 倒れこんで、ゆっくりゆっくり這い上がって、 諦めて、でもまた、ささやかな光を見出して。L La la how the life goes on そんな日の、ブラウニー。 無数の傷と、細かな欠け、 それでもなお、けなげに美しい。 長い年月を生きぬいてきた古いウィロウが 格別に慕わしい。 (2012.10.12) |
11年前、ほんの思いつきで始めたウィロウのページが サイト名、メールアドレスは新しく記してはいますが 長年遊びに来てくださっている方、旧サイト名でリンクいただいていた方、
紅茶の缶を開けると
(2012.10.11) |