Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
|
|
2014年、初読書は、「檸檬」だった。 きっかけは、友達からの年賀状。 家族の日常スナップが印刷してあり 本を読んでいる少年の写真が載っていたのだ。 その本が、「檸檬」だった。 確か文庫本があったはず・・・ 久しぶりに読みたくなって 本棚の奥から発掘してきた。 「一体私はあの檸檬が好きだ。」* お正月休み、 ごろり、炬燵に横になってページを繰った。 「それにしても心という奴は何という不可思議な奴だろう。」* 「檸檬」を読んだから、というわけでないけれど、 年明け早々、レモンケーキを焼いた。 一体、私はあのレモンケーキというものが好きだ。 洋菓子屋の隅につつましく置かれているものも、 スーパーマーケットのパン売り場に 無造作に積み上げられているのも。 主役級の華やかさはない。 その味と佇まいは、今や懐かしささえ帯びている。 でも、好きなのだ。 長じてケーキのレモン型というものまで、買ってしまったほどだ。 ころんとしたレモン型で焼いて 片面をホワイトチョコレートでコーティングした。 元旦から数日、気持ちのよい冬晴れが広がる 穏やかな年始だった。 年賀状を仕舞う箱を整理していて、 窓の外と同じような、すっきりと澄んだ青空に目が留まる。 随分前の年賀状だ。 あえかな空色。 端正にととのえられた後楽園の緑。 冬木立のおとす影。 この清々しさが新年にふさわしい気がして、 2008年の年賀状に使ったのだった。 少し色褪せてしまった感はあるけれど あの空気感はまだ、残っている。 お気に入りのヘリンボーンのコートを着ている娘は 当時まだ、幼稚園児だった。 そんな彼女も春には中学校に入学する。 そして、息子が幼稚園に。 今年は、節目の年になるなあ・・・ そういえば、4年前、 息子が生まれた時、入院先の病院に娘が持ってきてくれたのも レモンケーキだった。 「まま、すきでしょ?」 そんな手紙が添えられていた。 いつもBLUE WILLOW JOURNALをお読みくださり ありがとうございます! 今年もウィロウとの日々を楽しく綴っていきたいと思いますので どうぞよろしくお願いいたします。 *「檸檬」 梶井基次郎(新潮文庫) (2014.1.12) |