Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
レッスン室の片隅でメモをとり、
ギーコ、ギーコと一緒に宿題をさらっていた日々はそう遠くない気がするのに。 今日も今日とて、 大きな楽器を担いで坂を下っていく背中に、思い知る。 二人三脚の相手は、もう私ではなく、 正真正銘、あなたのバイオリンなんだね。 「バイオリンのおと。ママのえがお。ケーキのやけるいいにおい。 わたしは とっても しあわせな きもち。」* 1/8の小さな分数バイオリンを弾いていた頃によく読んでいた絵本の 大好きなページ。 バイオリンのおと。あなたのえがお。ケーキのやけるいいにおい。 日々の暮しにそれらがあることが ママの幸せであることに、変わりはない。 今も、むかしも。 折しも、さくらんぼの季節、 ケーキでも焼こうかな。 *「ド・レ・ミ わたしのバイオリン」 スージー・モーゲンスタン 文 マリー・ドゥ・サール 絵 高田 万由子 訳 (講談社) (2015.6.06)
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‘緑のハイデルベルク’ まだ十分に覚醒しきらないうちから なぜか、そのフレーズが頭を巡っている。 天井を眺めつつ、考える。 なにかの小説のタイトルだった? あるいは音楽の。 それとも、夢の中に出てきたのかな。 起きだして、検索をかけると それは、緑に萌えるドイツの古都、 ハイデルベルクを描いた 東山魁夷氏の作品名だった。 絵自体は、いつかどこかで見た、というほどの認識だったのに どうして、タイトルだけ 今朝、突然に降ってきたのだろう。 とにもかくにも ‘緑のハイデルベルク’の謎はとけた。 台所の窓を開けると、 こちらも、したたる緑。 蜜柑の花は、今を盛りに白い花を咲かせている。 果実の爽やかさからは遠く、 花は濃密で、濃厚。 まとわりつくように香ることを初めて知った。 蜜蜂や蝶が、悦んで誘われている。 さあて。 フライパンにじゅっとバターを溶かし 軽く茹でておいたアスパラガスとベーコンを炒めた。 ご飯は炊けたばかり。 豆腐と揚げの味噌汁に、ぱっと青ネギを散らす。 ‘緑のハイデルベルク’に導かれた 5月の緑の日曜日。 朝ご飯の、用意ができた。 (2015.5.09)
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