Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
旅人として、 「非日常」の風景に心躍り、心動かされ。 でも、そんな時間に慣れてくると そこに暮らす人々の「日常」に目が向くようになってくる。 川辺をジョギングをする人、 スーパーマーケットから袋を下げて出てくる人、 ユニフォーム姿で学校から出てくる日焼けした子供達や 彼らの傍らで自転車を押すお母さんたち・・・ それぞれにある、それぞれの暮らし。 そして、そろそろ私も、自分自身の日常が恋しくなる。
・・・なんて、あまり感傷的にならないためにも
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目が覚めると 雨音と、秋の虫が聞こえる。 どちらかが主張しすぎるということもなく、 つつましく寄り添った二重奏。 お盆も過ぎると、八月は駆け足に。 子供の頃から変わらない 夏の終わりのこの気持ちが 窓の外のデュオと重なって しんみりと、聞き入る。 「予約資料が用意できました。」 昨日、図書館からお知らせが届いていた。 夏のうんと初めに予約していた小説は、 タイトルに「夏」を冠した物語。 今さらという気もするし、 今ならまだ、という気がしなくもない。 今日にでも受け取りに行こうかと思ってはいたのだけど この調子だと、明けても雨かもしれない。 夜明けまでそう遠くなさそうだ。 確かめると、普段起きる時間よりまだ一時間早い。 いっそ起きだして、なにか作ろうか、 元気のでるようななにか。 いや、このまま再びの眠りにおちていきたくもある。 雨脚が強まって、 二重奏の均衡が、ふいに崩れる。 頭の片隅で新聞配達のバイクの音を聞く頃には、 虫の音はもう、雨音にかき消されている。 (2015.8.20) |
水玉ノスタルジア あの夏も、暑かった。 息子がお腹にいた私は安静を言い渡され どんな風に、日々をやりすごしていたのやら。 しかるべき時に、安産祈願のお参りにも行けなかったから 体調もよく、少し暑さも和らいだ午後 神社に出向いたのだったっけ。 数歩進んでは、呼吸を整え 目眩がおさまるのを待つ。 見上げた先、 翻った娘の夏服の水玉模様だけが あの夏の記憶。
ひとつ、ふたつ・・・
(2015.8.14)
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