Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
娘の強化練習が終わり、
いよいよ、演奏会当日の朝。 今日は、お弁当が支給されるので 「オケ弁」を作る必要もない。 なんだか手持ち無沙汰。 パウンドケーキでも焼いてみようか。 紅茶に浸した干しぶどうを、 蜂蜜入りの生地に加える。 今日もまた、気温は上がる予報だけど
二階の窓から見渡すと 広がる空の青が、こころなしか違う。 今日の演奏会が、 いろいろな意味で、今年の夏の終わり・・・ 予定をカレンダーに書き込んだ遠い日から そんな風に感じていたことを思い出す。 そして、本番。 素晴らしきマエストロのタクトに導かれ、 若き演奏家達の奏でる調べは、高みに! 一期一会の音楽を心に刻み、 惜しみない拍手を送った。 明くる日は、心身共に脱力。 私自身が何をしたというわけでもないのに・・・ 家族に笑われながら、気ままに本を捲っている時、 ある一節に目が留った。 「お弁当とは何事かを伝える手紙にほかならない。」* お弁当という、手紙。 そんな風に意識して作っていたわけではない。 でも・・・ 娘はいつも返事をくれたなあ。 帰って来てから、メールの文面で、 いつだって、惜しまずに伝えてくれた。 返事を受け取る喜び。 それがあるから、 私も毎日、朝の台所で楽しく手紙が書けたのかもしれない。 「オケ弁」はしばらくお休み。
少しほっとして、 次に作る日が、それでも、既に待ち遠しかったりもする。 一日ねかせたパウンドケーキは ふくよかに紅茶をふくんだ干しぶどうが しみじみ美味しい。 8月も、あと10日。
*「彼女の家出」 平松洋子
(文化出版局) (2016.8.21) |
それは記憶の中より、 ずっと幽玄で、美しく・・・ 故郷の町が、幾多ものちょうちんで彩られる夏の夜。 「山口七夕ちょうちん祭り」は、室町時代に始まった 8月初旬に催される祭りです。 平日にあたることが多く、近年はなかなか行く事も叶いませんでしたが 今年はちょうど、週末に。 帰省にあわせて、久しぶりに訪れることができました。 日が落ちる頃、ちょうちんの中の蝋燭に ひとつ、ひとつ、火が灯されます。 懐かしい、この景色。 中学生の頃は友達と繰り出すのが楽しみだったっけ。 あの頃と比べ、普段はすっかり元気のなくなった商店街も この日ばかりは、賑わいを取り戻して なんだか嬉しくなります 商店街の呉服屋さんで、ちょうちん祭りをモチーフにした 風呂敷を購入しました。 風呂敷よりも、もっと日常的に使いたい・・・ 思いきって鋏を入れて、家族分のお弁当包みに変身。 これならば、ぐっと気軽に楽しめます。 一足早く夏休みを満喫したので お盆休み返上で、お弁当作り。 中学生活最後の大きな演奏会を前に、 強化練習の始まった娘の「オケ弁」です。 朝8時前のバスに乗り、夜8時前のバスで帰ってくる日々。 今朝も、お弁当とバイオリンを携えた背中を送り出し・・・ え!?バス出るまであと3分だよ。 「へいき、へいき〜。」 振り向かずに、右手を振って風のように去っていきました。 14歳の夏は、一度きり。 私達も、同じお弁当で応援です。 楽しかった、あの祭りの夜の思い出と一緒に・・・ (2016.8.14) |