Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
長年、大切にしている英国菓子の本が二冊あります。 大原照子さんの「私の英国菓子」と 北野佐久子さんの「イギリスのお菓子」。 それぞれ初版は1980年代で 既にどちらも絶版ですが まだイギリスのことをよく知らない頃から、 菓子文化のみならず、 かの国の空気感に至るまで イギリスの‘お菓子’以上のことを、 たくさん教えてもらえた本でした。 もちろん、レシピ本としても秀逸。 何を作ってみても、イギリスでたっぷりのミルクティーと共に味わう あのおいしさが、確実にそこにあります。 そして、「私たちが電気釜でご飯を炊くのと同じ程度の気軽さ」と 大原さんが書いていらっしゃる通り、 気負わず作れて、ほっとする味。 これら二冊の中のレシピは本当に暮らしに溶け込んでいるので 文字通り、私の血となり、肉となり、 そして、ハートにもなっているのだろうと感じます。 市販の美味しいお菓子がたくさんあり 新商品ラッシュの秋到来。 でも、手作りの英国菓子の美味しさはまた、違うもの。 こんなに簡単なのに、やはりそれは 買えない味なのです。 記念日にチョコレートビスケットを作ったとき、 家族それぞれの様子を見て あらためて、そう感じました。 今日は、コーヒーファッジケーキを。 イギリスでは、町のこんなお菓子屋さんをのぞくのも楽しみのひとつ。 港町RYEにて。 「私の英国菓子」 大原照子(柴田書店) 「イギリスのお菓子」 北野佐久子(CBSソニー出版) (2016.9.28) |
9月21日で、サイトも17年目を迎えました。 結婚一周年記念に、立ち上げたこのサイト。 当初は、英国の思い出を中心に綴っていましたが 年月と共に、 「ブルーウィロウ」という英国の器の中に 日々の暮らしを盛っていく喜びの場に変化していきました。 昔の私は、「いつか」「いつかは」と、 先ばかり夢見ていた気がします。 若さの特権であったかもしれないし、 それはもちろん悪いことではなかったかもしれないけれど、 この18年間は、常に「今」にフォーカスした日々でした。 「今」に必死だった、と言えるかもしれません。 でも、過ぎ去った過去でも、まだ見ぬ未来でもなく 今を一番楽しみ、慈しむのことのできた時間は やはり満ち足りたものだったのだと思います。 折しも結婚記念日翌日は、子供達のバイオリンの発表会。 プログラムの余興として 姉弟が二重奏「Happy Birthday」を演奏しました。 それはもちろん偶然で、 ビギナーの息子の為に、先生が選んでくださった中の一曲に過ぎません。 でも、私はまたひとつ記念日を迎えられた感慨を 重ねて聴かずにはいられませんでした。 18年前の9月21日、 結婚式を挙げたバッキンガム州の小さな町、 ビーコンズフィールド。 ここから、はじまって続いてきた 今日という日に感謝して。 (2016.9.25) |