Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
春、受験が終わった娘は、 弾き語りができるようになりたいと バイトを始めて、ピアノのレッスンに通い始めた。 緊急事態宣言を受け それらが休みだった時期を経て、夏。 たどたどしい音の連なりでしかなかった 「Bohemian Rhapsody」が ようやく形になってきた。 非日常が日常の今、 Is this a real life? と始まるこの曲を聞かない日はなく、 ときどき、私もまた 誰にともなくそれを問うてみたりしている。 さて、「かぜ」は デンマークのイブ・スパング・オルセン作の絵本。 姉弟が風を追いかけてゆく 愉快な物語だ。 ぎゅっと手をつないでつきすすんでいく姉と弟が 微笑ましい。 飛ばされそうな強風の中、しっかりと姉の手を握っている弟の表情は 安心し、心強く、 それでいて、少しばかりきまりが悪いようにも見える。 それは、登山の際、はりきって一番先に登りきったのに すっかりくたびれ果て 帰路はお姉ちゃんにおんぶしてもらった時の息子の表情とも重なって可笑しい。 姉はいつだって頼りになり 未知の世界に導いてくれる存在。 常に手を引いてくれるわけではないけれど 弟は傍でじっと見ていて、 これだ!と思ったら 自分もまた、そこに足を踏み入れてみる。 最近は、息子も「Bohemian Rhapsody」を練習し始めた。 あちらこちらを彷徨った絵本の中の姉弟。 最後、風が運んできたいいにおいを辿っていくと そこは自分たちの家。 お母さんがちょうどハンバーグを焼き始めたところだったのだ。 どこの国にも家庭の挽肉料理があって それぞれに子供達の好物なのだろう。 我が家の姉弟も幼い頃から変わらず ハンバーグやミートボールが好き。 遠足も、受験の前も、何もなくとも、 リクエストにのぼってきた。 昔から作り続けているレシピを今は倍量でこしらえながら 今日も「Bohemian Rhapsody」を聞いている。 *「かぜ」 イブ・スパング・オルセン さく ひだに れいこ やく (亜紀書房) *「Bohemian Rhapsody」 QUEEN (2020.7.30) |
いつ雨の季節が始まったのか いつ終わるのかも 分からない。 うんざりするほど降り続き、 眠れぬ夜や、乾かない洗濯物や、憂鬱な通勤時や、 そんなものを、日々やりすごしているうちに ある日突然、真夏日。 蝉の声に我に返り、 カレンダーを確認する。 今となっては いつ始まったのか いつ終わるのかも分からない禍の渦にいるけれど、 見上げた空に すばらしく美しい虹がかかる日もあるから 今日を明日につないでいける。 あした天気になあれ! (2020.7.16) |