Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
ONE SUMMER AFTERNOON 我が家にやってきて半年以上が過ぎ すっかり心を許してくれるようになったコッペ。 ウサギは(コッペは!?)静かでマイペースな生き物。 鳴くわけでなし、愛想がいいわけでもありませんが ケージから出してあげると 皆が集まっているダイニングテーブルの下にやってきて 撫でてもらうのを待っています。 ウサギは夏の暑さが苦手。 いっぱい撫でてもらって 牧草も人参もたっぷり食べたなら マガジンラックの下で、今日もおひるね。 (2021.8.21) 連日、鳴きやむことのなかった蝉の声が 雨音と入れ替わり、 ほっとしたのも束の間 雨脚は強まるばかり。 空模様とニュースを気にしながらも 一冊の本を読み終える頃、 ようやく雨が上がり、 蝉の声が戻ってきた。 その本、「鬼の橋」は 数日前、息子が読んでいたものだった。 ソファに身を埋めて没頭している様子を見て 「私もそれ好きだった!』 娘が声を上げた。 知らなかった。 この物語のことも、 娘もまた、小学生時代にこの本を読んでいたことも。 二人ともが夢中になる作品・・・ そう思って手に取ってみたら 私もぐいと引き込まれてしまった。 平安時代に実在した小野篁(おののたかむら)の少年時代が 題材となった物語です。 不慮の事故、とはいえ 子供ならば誰でも覚えがあるような心模様が災いして 一緒に遊んでいた異母妹を亡くすという あまりにも大きな運命を背負ってしまう篁。 12歳にして、自分の人生は終わったとさえ 思いつめてしまいます。 おいしげる夏草、ツユクサの青、 鼓膜を圧迫する蝉時雨・・・ 異母妹を失った真夏の廃寺から、 失意と葛藤のままに彷徨う篁が その後、季節の巡りとともに、 現世、冥界、その狭間でのさまざまな出会いを経験し やがて春の兆しを見つけるまで。 骨太で、冷静で、情感豊かな筆致も 魅力のひとつ。 ラストのしみじみとしたあたたかさが いつまでも胸に残る名作でした。 「鬼の橋」 伊藤 遊・作 (福音館書店) (2021.8.15) |