Bluewillow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
二通の手紙 便箋にしたためられた手紙をもらう機会は ぐんと少なくなった昨今だけど、 立て続けに、心に残る直筆の手紙をいただいた。 一通目は、古本屋のオーナーさんから。 品揃えから、店の室礼まで 住みついてしまいたい!と思うほどの古本屋があって いつもサイトの更新を楽しみにしているのですが 天井までもある背の高いオークの本棚の横に なんとも魅力的なポスターが掛けられていたのです。 見れば見るほど、憧れは募るばかり。 思い切って問い合わせてみると それは、パリで開催された展覧会のポスター(リトグラフ)で 1971年のものだとのこと。 ほぼ私と同世代です。 ちょっぴり言い訳のほしいお買い物でしたから、 一念発起して生活の転機を迎えていたことを理由に 購入を決心。 そのポスターが届いたとき、 同封されていたのがオーナーさんからの手紙でした。 本の買付に行く時にはポスターも探すこと、 なかなか良いものとは出会えないけれど ポスターならではの面白いデザインと出会えた時の楽しさ••• 青いインクで書かれた繊細な文字からは 買付先でのオーナーさんの高揚が伝わってくるようでした。 同じポスターに向けた感動を 分かち合い、言葉を交わしたような気分になる 嬉しい手紙。 実はそのお店、遠方にありオンラインでしか訪れたことがないのです。 自らの店に並べるものへはもちろん、 それが次に渡る人へのバトンにも愛情が込められていることが分かり いつか直接お店を訪れる日が ますます楽しみになりました。 二通目は、トラブルから生まれた 不思議な縁の手紙。 通販サイトで返品手続きしたところ、 ある日本の個人宅を返送先に指定されました。 商品は国外からの発送だったので 少し不信感はあったものの 何度も利用している大手の通販サイトだったこともあり 言われるがままに、指定先に送付したところ•・・ 「どうなっているのでしょうか!?」 翌日、送付先の方から連絡が入ったのでした。 やはり、なんらかの問題が起きており 指示された送付先は間違いだったのです。 突然、見知らぬ人から見知らぬものが届けられたのですから 当然のことでしょう、 声には驚きと戸惑いが滲んでいました。 でも、私もサイト側の指示に従っただけで なぜそうなったのか全くわからない! 先方に事の経緯を説明して 通販サイトと事態の確認がとれ、解決の方針が決まるまで 数日ほどお待ちいただくことにしたのでした。 その間、サイト側の進捗にやきもきしたり、 こんな形で個人情報が出てしまうことを不安に感じたり。 それぞれが気持ちをSMSで伝えあっているうちに ようやく問題は解決に向かうことになりました。 そして数日後。 先方からお手紙をいただいたのです。 縦書きの和紙の便箋にしたためられた 達筆の一枚。 「袖振り合うも他生の縁と申しますが・・・」で始まる その丁寧な手紙には お互い大変な思いをしたことに変わりはないのに 今は「逆に気持ちの良い思いさえしております」 そう書かれてありました。 電話やSMSでのやりとりから 私という見知らぬ人間を理解しようとしてくださっており 最後には、 「お互い心身ともに健康でありますよう、 毎日がしあわせでありますように」。 トラブルに端を発した 一通の手紙。 お気持ちを言葉にして、文字にして 伝えてくださってありがとうございます。 読みながら、何度もそう思いました。 私は手紙の中に書かれているような人間ではないけれど そんな人になりたい、そんな人になろう! なにか、とても清らかなものが胸に満ちてきて トラブル転じて福となす。 しあわせな気持ちで 封筒に便箋を仕舞ったのでした。 (2022.5.30) 白いスニーカーを買って、 蜂蜜入りのマドレーヌを焼いた。 ギンガムチェックの向こうに 夏が見える。 よく晴れた5月の日曜日。 (2022.5.07) |
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