Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
秋の終わり、 父と妹と一緒に神保町の古書店街を歩きました。 この雰囲気の中にいるだけでいいんだよね、と父。 現役時代、東京出張があると よく立ち寄っていたとのこと。 もう本を減らさなくちゃいけない、と言ってはいても 出会いがあったら、 やっぱり買わずにはいられないよね。 私はずいぶん前に買いそびれていた 須賀敦子特集の雑誌を。 20代前半によく読んでいた須賀敦子氏、 20代後半には全集も買い揃えるほどでした。 最近では、母が闘病中に出会った文章に 心が凪いでいったことを よく覚えています。 仕事のあと、電車を途中で降りて、 都心の墓地を通り抜けて帰ることがある。 春は花の下をくぐって、 初冬のいまはすっかり葉を落とした枝の向こうに、 ときに冴えわたる月をのぞんで 死者たちになぐさめられながら歩く。 日によって小さかったり大きかったりする よろこびやかなしみの正確な尺度を、 いまは清冽な客観性のなかで会得している彼らに、 おしえてもらいたい気持ちで 墓地の道を歩く。* 「本に読まれて」 須賀敦子(中央公論社) 東京在住の妹が招待してくれた旅でした。 母を見送って1年半。 家族がそれぞれに少し落ち着き、 だからこそ、新たな感情が生まれてきた今、 父の馴染みの場所や、母との思い出の場所を 三人で巡りました。 晩秋の東京は あたたかく、美しく、 クリスマスの準備も始まっていて。 80歳の父の健脚ぶりも健在! お母さんだったら音をあげてたよねえ、と笑い合うほど よく歩いた旅でもありました。 旅の途中、 須賀氏ゆかりの地、ともいえる四谷で クリスマスカードを買いました。 1950年代のものだとのこと。 ノスタルジックな赤色が素敵、と手にとったら to Motherと印刷してあるではないですか! 母がお茶目に顔を出してきたようで 一番のおみやげになりました。 (2023.12.01) 11月は、いつになくアクティブで さまざまな土地に足を運び、心を寄せた月でした。 それぞれが印象深く、思いも深く。 まだ、それらを消化しきれていないのに 新しい月がやってくる。 年末の忙しさも待っている。 OK, BUT FIRST COFFEE. (2023.11.30) |
|