Blue willow のある食卓
    ーEveryday with Bluewillowーー








     


    土曜の夕刻、
    水の張られた水田が
    大きなキャンバスになっていた。














    足を止めてしばし見入っていた万蔵氏がぽつりと言う。
    「ウォーターランドが読み返したくなった」 
    「ウォーターランド」は
    グレアム・スウィフトの書いた
    イングランドの水郷が舞台となっている小説だ。
    何度も薦められて
    何度も読み始めたのだけど
    私はどうしても読み進めることができないままでいる。















    日曜日の朝食。
    庭のバジルでジェノベーゼペーストを作り
    サンドウィッチに加えた。
    バジルの味を知ったのは、
    イングランドで夏を過ごした18歳のときのこと。
    その時に訪れたイングランド東部の地は
    「ウォーターランド」の舞台とそう遠くない。
    今でもバジルの香りからは
    当時の風景や心境が想起されて
    一瞬で、時間軸が揺れる。













    *





    約2年前、結婚当初から使っていた時計が止まってしまいまいました。
    以降、気に入る時計が見つからなかったのですが
    ひやかしに見ていたフリマサイトで
    偶然、同型のものを発見!
    フレームが少し明るめの色でしたが
    動かなくなった元の時計のダークブラウンのものを捨てられずにいましたから
    入れ替えて使っていくことにしました。





    時計のことを以前このジャーナルに書いたときには
    同じような経験をされたという方から
    メールをいただきました。
    止まってしまった時計と
    人生の一区切りの想いと重ねて
    はじめまして、のメールをくださったのです。

    思い返せば、まだ「ホームページ」なるものが全盛の頃は
    このサイトにも「掲示板」があり
    いろいろとおしゃべりを楽しんだものでした。
    サイトのリニューアルなどを経て
    いつしか「掲示板」はなくなってしまったけれど
    たくさんの思い出があり、
    今なお続いているご縁もあります。
    細々でも長く続けていると
    歴史ともいうべき、かけがえのない時が堆積していくということを
    サイト運営を通じて、折に触れて実感します。





    メールをくださった方の時計は
    時間とお金をかけて
    再び時を刻み始めたとのことでしたが
    諦めかけていた我が家の時計も
    思いがけない形で、新たに再出発。
    「点」では想像しえなかったことが
    時の経過という「線」で見ると、見えてきたりする。
    歴史の面白さは、そういうところにもあるのかもしれません。
    そういえば、「ウォーターランド」は
    歴史的な視点を持つ小説でもあるのです。
    そろそろ腰を据えて
    ページをめくってみる時期がきているのでしょうか。








    「ウォーターランド」
    グレアム・スウィフト 作
    真野泰 訳
    (新潮社)






    (2025.6.22)