Blue Willow のある食卓 vol.50
どんなものと合わせても
いつも新鮮な驚きをくれるブルーウィロウ。
はっとさせられる瞬間を
暮らしの中から切りとって。
バジルの味を知ったのは、19年前の6月、 初めて渡ったイギリスでのことだったかと思います。 約ひと月ほど滞在したのは イギリス人のご主人とイタリア出身の奥さんというご家庭。 裏庭を望むポーチのテーブルに並んだ食事は ハーブ類をふんだんに使ったイタリア料理も多く 典型的なイギリスの老婦人宅にステイした友人が 「今日も豆の缶詰めとポテトだった・・・」と苦笑いしていたことを思えば 恵まれた食生活だったのでしょう。 バジルで作るジェノベーゼソースを絡めたポテト料理も よくつけ合わせにいただいたものでした。 ご夫妻と、その息子さん、ときどきそのお友達。 そしてトルコからの留学生と私。 賑やかにお腹が膨らむと、 奥さんのギターに合わせてみんなで歌を口ずさみ 初夏の宵を楽しだ、あの6月。 今でもこの季節が来るとそんな思い出が蘇ってきます。 今年もジェノベーゼソースを仕込んだら まずジェノベーゼポテトを作りました。 *サフォーク地方の思い出*
なにしろ、もう20年近くも前のものです。 写真はすでに色褪せた感もありますが、 初めて滞在したサフォーク地方の素朴さこそ 私が一番惹かれるイギリスの風景だと あらためて感じずにはいられません。 もう名前さえ分からない町や教会・・・ いつかじっくりと旅してみたいものです。 (2009.6.21) |
遠足の朝、お弁当にささみのフリッターを揚げる。 衣に粉チーズと牛乳を加えたふわふわの食感は 冷めても美味しく、お弁当にぴったりだ。 食べているうちに舌が不気味な色になるものだとか、 途中で味の変わっていくものだとか、 厳選された!?妙な駄菓子も、既にリュックにスタンバイ、 二年生の行き先は、植物園とのこと。 それにしても・・・ もう一年生じゃないって、どこか一歳が終わった時と同じような気分だなあ。 なんとなく、もう特別ではない感じ。 ゆっくりと願っても、いつだって時の流れは容赦ない。 ため息が漏れそうな口に 揚げたてのフリッターを一つ放り込み 春の憂鬱をちょっとだけ封じ込める。 (2009.4.27) |
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久しぶりに 家で過ごす日曜日。 三人揃ってお昼寝をした後、 娘のリクエストで胡麻餅を作りました。 揚げたてを頬張れば さくっと香ばしい胡麻の歯触りと、 中から顔をだす 熱々のこし餡が まだまだ肌寒い弥生の午後に嬉しい。 この冬、引っ越しをした夜、 中華料理店で胡麻餅を食べました。 ただただ近所だからと、 作業中にジャケットだけ羽織って出かけたお店は お客が多いというわけでもないのに、結構な待ち時間。 けれども 不思議と気持ちがささくれだたなかったのは そのぼんやりとした時間が 引っ越しという非日常にある疲れと高揚感を 鎮めてくれたからなのかもしれません。 ゆるやかに流れるJazzや、ランタンの仄かな灯りは 異国の夜にたうとうような心地さえ誘いました。 胡麻餅をもう一つ食べたい、なんて言う娘を ‘次はおうちで・・・’と制して店を出ると、 星も凍るような寒空。 間違いなくこの冬一番の寒さだったように思います。 あれから約二ヶ月、 すっかり新しいお部屋にも慣れて 気持ちよく生活が回るようになりました。
さて、胡麻餅を食べたら、 引っ越しを決める原因の一つともなった 娘のバイオリンの練習です。 ちょうど今、お稽古中の「白ばらの匂う夕べは」は ゆるやかな三拍子。 このタイトルのせいでしょうか、 いつもなら古い映画を観ているような、ノスタルジックな気分になるのですが 今日ばかりは、そうはいきません。 そこはかとなく漂うは、胡麻餅の匂い。 胡麻餅の匂う夕べに、白ばらの調べがぎこちなく寄り添って・・・ 日曜日が暮れていきます。 (2009.3.08) |