Blue willow のある食卓 vol.9


      -Everyday with Bluewillow-

      どんなものと合わせても
      いつも新鮮な驚きをくれるブルーウィロウ。
      はっとさせられる瞬間を
      暮らしの中から切りとって。




     



    外はこんなに静かな冬なのに
    心の中も、世の中も、騒々しくて苦しくて
    彼女の世界に入ってゆきたくなりました。
    数年前の冬に読んだ一冊を取り出してみます。
    須賀敦子氏の追悼特集が組まれたムック。
    ぱらぱらとめくっているうちに
    須賀氏から教えを受けた脚本家の方の文章に目が留まりました。
    須賀氏は大学の授業で、庄野潤三氏の「静物」を熱心に講義され
    「驚異的に完潔な言葉で 生活のディーテイルのみを 水彩画のように描き出している。
    そしてそのディーテイルこそが美しさの本質で
    かつ、人間の経験のもっとも基本的なものであることを証明している」
    そして又、「この生活におけるつまらないほんの小さな経験こそが人生を紡ぎ出す一本一本の糸だ」
    と述べられたそう。

    「静物」を読んでみたい、そう思いました。
    そしてもし、彼女の言うように
    日々重ねてゆく生活というものディーテイルにこそ美しさがあるとするならば、
    私の日常の中の、たいていの季節に、時間に、感情に、
    6年間もずっと寄り添ってくれているブルーウィロウもまた、
    そのディーティルのひとつではないかという気もしてくるのです。
    もともとは、言うなればただの器にすぎません
    けれども さまざまな想いを分かち合いながら生活を共にする物は、
    いつしか単なる’物’という存在を越え
    確かに、人生のディーテイルにもなりうるのではないでしょうか。

    「生活のディーテイルを もし美しく思うなら
    きっと脚本でもなく、小説でもなく、エッセイに行き着くかもしれない」
    脚本家の方は、そんな風に書かれていました。
    そして、「人生の過去も現在も未来も再構築して描き、
    憎しみも哀しみも嬉しさも愛しさも全て昇華させるために」
    須賀氏はエッセイを書くことを選ばれたのだろう、と。
    ウィロウをめぐる日常を書いてゆくというこの作業も
    私にとってはある意味、日々の再構築であるともいえます。
    あまりにささやかではあるけれど、
    こうして書き続けてゆくことが、
    暮らしのディーテイルを見つめ直すきっかけとなれば、
    それはとても嬉しいことです。

     
    ・引用文「声をみつけるのよ」 青柳祐美子
    文芸別冊 追悼特集 須賀敦子より







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