Very Lemon Cake
焼きたてでまだケーキが熱いうちにレモン汁を
たっぷりかけて仕上げる、
暑い季節向きのさっぱりしたレモンケーキ。
一人で過ごす夏の休日、
ケーキを切り分けたら
久しぶりに熱いミルクティーを用意します。
まだ朝早く、涼しい束の間のひととき。
テーブルの上が整うと
CDをONに。
"Dear Green Field'
はじめの数フレーズだけで
何よりも好きな英国のカントリーザイドの風景が浮かび上がります。
穏やかな起伏の丘の連なりに、草をはむ羊たち。
したたる緑と、心地よい風。
点在する愛らしい民家や教会の塔。
しばし目の前のお茶のことさえ忘れて。
これは作曲家・ピアニストの中村由利子さんの
ピアノの曲です。
ライナーノーツを読むと、
この曲は実際に英国とは何の関係もないのですが
いつのまにか私の中では 英国の音楽。
数年前 英国から帰国したばかりの夏の日、
このCDばかり聴いていたからかもしれません。
私の実家は大きな公園の前にあり、
ぼんやりと窓から その青々した木々や、河を眺めつつ
まだ記憶に新しい英国の田園風景を
重ね合わせていたのです。
中村さんはピアノソロ以外でも、
チェロとバイオリンとのAcaustic cafe というトリオで活躍中。
ただ美しいだけではなく、
彼女のメロディーには香り立つような物語があります。
例えば、
心がざわつく風の朝、
遠い冬の日、
陽だまりの父の温もり。
文章にすることさえ難しい微妙な心の奥の風景を
音符に変えてゆける人なのです。
特に私が好きなのは1988年のアルバム「時の花束」
Dear Green Fieldは収録されていませんが
まるで追憶の短編集のようなCD!
一曲一曲すべてが、美しく、
そして これが彼女の音楽の魅力の一つですが
どこか影のある余韻を残してくれるのです。