冬時間
Birthday Music
今年もまた、作り終えた。
その充足感に満たされながら
これが彼女の手元に渡るまでの束の間、
私自身がその音楽に耳を傾ける。
バースデーテープ、と
銘打ったテープを作り始めたのは中学生の頃だ。
自分が好きな音楽を、自分なりに編集して
お互いの誕生日に贈る、
音楽のプレゼント。
これまでお互いがやりとりしたテープには
いったいどのくらいの音楽が入っているのか。
その一曲、一曲は
とりもなおさず
私達がどんなものに惹かれ、
どのようなものを追いかけ
どんな風に生きてきたか、の足跡だ。
それは古いアルバムをめくるより、
ある意味リアルな思い出の数々とも言える。
私達の17年間。
それらすべての年月が 音楽という形で残っていることを
心より嬉しく思う。
6月。
友人の誕生日に向けて
今年もまた、バースデーテープを編集した。
テープといっても 時代はもうテープではない。
編集したCDは、
いつもながら相手に贈るものでありながら、
120%自分自身の好みと、思い入れの結晶だ。
もちろん、私達はそういうやり方をとても気に入っているのであって
そうやってお互いを知り、新しい音楽を知り、
それが自分のものとなってゆくのがとても楽しい。
ジャケットには ベランダから撮った空の写真を使った。
さあ、この一年の私の想いを音楽に託して
今年も彼女に届けよう!
HAPPY BIRTHDAY.
彼女から贈られた音楽の数々は
どれもがそれぞれに思い出がありますが
もし特に選ぶとしたら
16才の時の、ラヴェル「亡き王女の為のパヴァーヌ」と
18才の時の、GROVER WASHINGTON,JR「Just the two of us」
でしょうか。
贈り合ったテープには
バースデーテープのいわば番外編、
夏の思い出テープ(レーベルがカルピスの包装紙!)
クリスマステープなどもあったりします。
これらのテープは正真正銘、私達の足跡、
そして宝物。
お互いのウェディングの時に、
「パートナーとなる人より、お互いのことを知っている」
と紹介されたゆえんなのです。
(2003.6.12)