冬時間
シャラララ
マンションの共同ポストの前で
生協の荷物を仕分けする夕方。
私の回りで 鼻歌を歌いながら待っていた娘が
ふいにカーペンターズの「Yesterday
once more」を
口ずさみ始めました。
私が時折歌っているから
聞き覚えていたのでしょう。
♪Every Sha-la-la-la
歌いたいように気儘に歌い
すっかり満足したのか
他に興味を惹かれるものでも見つけたのか
彼女は歌の途中に
ふいと口を閉じてしまいました。
ひと呼吸おいて、
すると、
どこからか続きのメロディーが聞こえてくるではありませんか。
少したよりなげで、
でも気持ちよさそうな
口笛で!
仕分けの手を止めて顔を上げてみたけれど
誰の姿も見えません。
見えないけれど、
私はとても愉快な、
そしてなぜだか幸せな気持ちになって
仕分けの済んだ荷物をひょいと持ち上げるのでした。
(2008.5.19)