冬時間
空港
花より団子、というより
花より飛行機。
空港は私にとって特別な場所だ。
解放感と緊張感の入り交じったあの独特の空気は
旅人にも 単なる通りすがりにも
平等に特別。
どこかへ向かう人、
帰ってくる人、
遠くの地名。
未知の国の飛行機。
出会いの風景。別れの風景。
レストランから流れる濃密な匂いには
迷い子にみたいにいつも不安にさせられる。
ショーケースのオムライスはとても黄色い。
駅にも似たような空気は流れていて、
ただそれだけを追いかけ、
浪人生でもないのに駅のそばの予備校で過ごした夏があった。
でも空港はもっと圧倒的。
だんぜん圧倒的。
なんといっても、それは空とつながる場所だから。
最終便を待ちながら
送迎デッキで風を見ている。
夜間飛行へと発つ 勇敢なトラベラー達を見ている。
運び込まれる貨物や
整備士達の気持ちの良い動きを見ている。
遠くアナウスンス。
やがてゆっくり機体が向きを変え、
青いランプに誘導されて
それは滑走路へと滑り出す。
整備士達が並んで手を振っている。
(このシーンは特別好き)
見上げると、
管制塔の灯りは 泣きたくなるほど懐かしい。
そしていよいよその瞬間。
私はいつも涙ぐまずには入られない。
飛行機が地上から離れ、空へと舞い上がるその瞬間、
ただその美しさと興奮に
いつも涙がでてしまう。
できることならば、
もっともっと大きな空港がある町に暮らしたい。
何も考えずにただ泣ける場所があるとするならば
それは私にとって空港で、
そうやって もっともっと単純な涙を流せば
明日からはもっともっとさっぱりと生きてゆけるかもしれない。
*トップの写真は、雑貨やさんで見つけたステッカーを使わせていただきました。
どこか懐かしいような青があまりに私の空港に持つイメージとぴったりだったので!