冬時間
雨
夜、雨が降った。
そんな予報もなく、
又、気配さえ感じなかったので
お風呂から上がって
どおどおという音に
まず驚いた。
あめ?
カーテンを開けると
それは闇をも煙らせ
地面を叩きつけている。
あわててキッチンへ行くと
小窓から降りこんだ雨が
案の定、床を濡らしていた。
こらえて、こらえて、こらえていたものが
どっと吹き出したような雨だった。
あるいは、閉じ込められていたものが
わっと爆発したような。
思えば、夏の間は
ついぞ晴れマーク以外見ることがなかったのだ。
どおどおと
雨は降り続ける。
胸に溜め込んだ想いが
堰を切って溢れ出す切実さで
それは降り続けている。
誰にも止められない、
止めさせない。
そんな、きっぱりとした雨だった。
翌朝はきれいに晴れた。
あれほど激しく降ったのに
昨夜はすごい雨だったんだよと言っても
家族はへえと言うばかり。
新しい季節への期待が
風にほんのりと香るばかり。
(2010.9.16)