冬時間
うたいたくなるよな
どこまでも青く晴れ渡る空に
ピークを迎えた紅葉が映え、
時折の風に
はらはらと枯れ葉が舞い降りてきます。
山の空気はきりっと澄んで
何度も伸びをしたくなる気持ちよさ。
飛ぶように、
まさに飛ぶように過ぎていった秋の終わりに、
ほんの一日、
友人との再会が実現しました。
色づいた晩秋の森は、
子供達にとってもワンダーランド。
1歳半の彼女のお嬢さんと
4歳を迎えたばかりの娘は
まるで姉妹のようです。
庭園では 冷たい風に関わらず
いくつかの薔薇がまだ花を咲かせていました。
子供達の姿を目で追いながら
私達もおしゃべりの花を。
’英国と、文章で関わっていたい’
そんな夢がひとつ形になり、
今秋、フォトエッセイが
雑誌に掲載していただける幸運に恵まれました。
それに際して、沢山の人達からもらったメッセージは
私にとって それぞれ大切で
次のステップに向かう大きな励みとなったわけですが
彼女もその一人。
かけてくれた言葉が、書いてくれた手紙が
嬉しく、心に染みました。
私はそのことすら忘れていたのですが
学生時代、専攻の違った彼女にも、
卒論を読んでもらっていたとのこと。
そして彼女は今もまだ それを持っていてくれているのだと
又、ジャンルこそ違えど
その頃も今も、私の文章から受ける印象は変わらない、と
感想を述べてくれました。
友達ってなんて有り難い存在なんだろう、
彼女のその言葉が、この日一番の思い出となりました。
もうすっかり日の暮れた、帰りの新幹線。
朝、ホームで買ったチェルシーを
娘と一粒づつ、口に放り込みます。
久しぶりの味を楽しみながら、
久しぶりの友人との一日を思い、
懐かしい歌がずっと頭の中に流れていました。
子供の頃、チェルシーのCMで流れていたメロディー、
♪うたいたくなるよな、いちにち♪
うたいたくなるよな、いい一日でした。
(2005.11.30)