冬時間
風花にさそわれて
春のコートを着てきたというのに、
雪の舞う冬日。
小さな看板に導かれて門をくぐります。
庭園には、梅が咲き、椿が咲き。
ちらちら降る雪と 花との戯れに、
しばし寒さを忘れるほど。
庭園を望む喫茶室でお抹茶をいただきました。
あたたかに、すべらかに喉を通るほろ苦さは
窓の外に広がる
冬を越した緑と、新しく芽吹いた緑の
すがすがしさ。
それにしても、
賑わう観光通りの ほんの一歩裏というのに
この静寂。
先客も帰られた今、
私達以外 お客は誰もいません。
お庭も、室内も、音楽も、
これ以上はないというくらい好きな雰囲気で
一枚、窓辺の席にシャッターをきりました。
「旅館 くらしき」
倉敷の中でも、とりわけ一番のお気に入りの場所になりました。
さて、日も暮れる頃、
中央通りに並ぶ‘あかりコンテスト’入賞作品に
それぞれ、灯りがともされました。
皆のイメージした倉敷という町が
さまざまな形で、さまざまに灯っています。
万蔵氏の作品も、
弥生の夜の下、しっかりと輝いていました。
翌日、嬉しい知らせが届きました。
このホームページを通じて知り合い
親しくお話させていただいている方が、
隣県から 灯りを見に来てくださったとのこと。
嬉しいね、嬉しいね、と
気持ちにもほんのり灯りがともります。
どうもありがとう。
春ももう、じきに。
(2005.3.15)