冬時間
ワレモコウはママの花
結婚記念日だからね、と言っても
いまいちピンときていないらしい娘の手を引いて
花屋に向かう。
「ワレモコウ、あるといいな」
「ママが好きな花なんだよね」
「そう、そう」
店先に着いて
私より先に、その赤茶けた実に気付いた娘が
声を弾ませた。
「ママの好きなワレモコウください!」
この秋、2度目のワレモコウ。
初のそれは、畑仕事の途中で
義母がとっておいてくださった。
畦にたなびくワレモコウは
以前は 雑草と一緒に刈っていたのだそう。
今は、私が行くときには
わざわざ 残しておいてもらえる。
ワレモコウは私が好きな花だから、と。
結婚して、7年目を迎えた。
娘はもちろんのこと、
義母の存在も又、
彼との結婚があってこそ、の出会いで
今はその二人が
ワレモコウは私の花だと思ってくれていることが
なんとはなしに、嬉しい。
ワレモコウが好き、ということは
あれこれ言葉を尽くすより
明快に私を語っている気がして。
さて、夕方帰宅した彼は、バラのブーケを抱えていた。
ワレモコウもいいけれど、
もう少し、華やかさも欲しいというところだろうか。
ふむふむ、
それも又、分かるし、
もちろん、ありがたく 嬉しい贈り物だ。
ありがとう、ありがとう。
まだ暑さの残る、9月21日。
ワレモコウとバラが
それぞれの美しさで私達を祝福してくれている。
(2005.922)