Blue willow のある食卓
    ーEveryday with Bluewillowーー





    数年前の誕生日に、
    アンティークの小さなフレームを買いました。
    金属のフレームに
    賛美歌の楽譜が合わせてあり、
    一目で心惹かれたのです。
    そのフレームには
    「冬萌ゆる小さなスタンドフレーム」という
    名前がつけられていました。*




    萌える、という言葉は
    あたたかな季節の草木の芽吹きを表すものだとばかり思っていたので
    「冬萌」という響きが意外に思われましたが
    まだ冬枯れのとき、静かに木や草の芽が育つことを
    そのように表現するのですね。
    なんと素敵な言葉でしょう。
    そして、一体どのような想いで
    このフレームがそう名付けられたのでしょう。
    一目で心惹かれた小さなフレームは
    名前を知った瞬間に、
    心奪われる大きな存在になっていたのでした。














    先日、無事に誕生日を迎えて
    今年もまた、ひとつ歳を重ねることができました。
    誕生日には中学時代からの友人が、
    焙煎所で珈琲豆を送ってくれるのですが
    寒さが厳しいこの時期には
    なによりの贈りものです。
    今年、彼女が選んでくれた豆は
    酸味が少なく、しっかりと苦味とコクがある
    深い飲み応え。
    それでいて、飲み終わりに
    ふわっと、一抹の軽さが立ち上がります。
    かすかに、遠くに、そこはかとなく感じる、
    でも、確かな軽やかさ。
    パッケージを見ると、
    その豆は「桜」を冠した名前を持つものでした。



















    (2019.1.31)


























    温暖な瀬戸内気候で、
    「晴れの国」と呼ばれるわが町にも
    この時期、底から冷える真冬日がやってくる。

    革の手袋をして、
    マフラーに顔を埋めて
    しんとした冷気の中を歩く。
    冬の真ん中を、歩く。
    葉を落とした木々のシルエットは
    自然の創り出す造形の中で一番心惹かれるものだ。


















    ”冬の日とはいえ日光に恵まれることも多い。
    自然が夢つつのうちにもらす微笑ともいえる柔らかい日ざしである。
    私は家を出て、遠くまでぶらつく。
    木の葉が落ちて風景が一変しているのをみるのも楽しみである。
    (略)
    裸になった樹木の枝振りにも独特な美しさがみられる。
    ときには、雪か氷が暗い灰色の空を背景にして
    格子細工然たる枝を銀色に輝かせることもあるが
    そんなときの景色たるやまさしく飽くことをしらぬ絶景なのだ。
    毎日私はしなの木の枝についている珊瑚色の芽をながめている。
    その芽がほころび始める頃には
    私は喜びの念とともに一抹の哀愁を覚えることだろうと思う。”(※)





    (
    ※)
    「ヘンリ・ライクロフトの私記」
    ギッシング 作
    平井正穂 訳
    岩波文庫




    *















    2019年が明け、はや、鏡開きです。
    寒い日の外歩きの後は、
    ギッシングが書いているように、紅茶ももちろん美味しいですが
    私達にとっては、おぜんざいもまた、格別ですね。
    小豆をことこと煮る冬のひとときが、幸せ。
    今年もまた、巡る季節をウィロウとともに!
    どうぞよろしくお願いいたします。








    (2019.1.12)