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Cream cheese & banana muffins
 

 

世界各国のチーズケーキが紹介された
「チーズケーキの旅」(山本ゆりこ・女子栄養大学出版)から
イギリス編で紹介されていた
角切りクリームチーズと、薄切りバナナの入ったマフィンを焼いてみました。
バナナを混ぜ込む時、
いつもはフォークで粗くつぶしたものを入れていましたが
薄切りにした方が、水分が少なくふんわり出来上がるとのこと。
なるほど、レシピ通りに作ってみると
甘めをおさえた生地に
バナナとクリームチーズとの相性がよい、
朝食にぴったりのふんわりマフィンが焼き上がりました。

この本によると
イギリスのチーズの歴史は長いけれど
食への関心があまり高くないからか!?
その種類は多くはないのだそう。
私達にもお馴染みカッテージチーズは
イギリス原産で
その由来は、農家や別荘を表す、
Cottage(コテージ)から来ているのだそうです。
低カロリーで、あっさり。
とりわけ70年代に健康食品として注目されていたのですって。

 


Cottageと言って、思い出深いのが
ウィルト州を旅した時に宿泊した Charnwood Cottage。
シャフツベリーの中心から少しはずれた田園にあるB&Bで
手入れのゆき届いた室内や庭が美しい茅葺きのお宅でした。
オーナーは物静かな老夫婦、
確か、ご主人は教授を退官された方だとのことで
階段の踊り場にまで書棚がある
落ち着いていて、知的な雰囲気が漂っていました。
又、奥さまは、そのお料理の盛りつけやインテリアから
 几帳面で繊細な方だとお見受けしました。
ドアの隙間から、ちらり、と見えたキッチンには
スパイスやハーブなどを入れていらっしゃるのでしょうか、
いくつものガラス瓶がきれいに並べられてあり
とても興味をそそられました。

もし「見せていただけますか?」と尋ねたならば
気持ちよく、そのキッチンを紹介くださったかもしれません。
けれども、どことなくそれを口にすることがためらわれるような、
ここは家族のプライベートな場所、
という線引きがきちんとされているよう。
言い出すことができませんでした。
イギリスの田舎のB&Bには、
その宿の家族の食卓で食事をするというような
オープンでフレンドリーな場所もあります。
それはそれで、とても楽しい経験ですが
このご夫妻は、
家族と客人との間に一定の距離と保っているように感じました。
もちろん、それは旅人に不親切なわけでも、無関心なでもなく
宿に着いた時に用意くださった、美味しいお茶にはじまり、
夕食を外で終えて帰ってきた私達に
「ラウンジでご一緒しませんか?」と声をかけてくださったり、と
さりげないおもてなしは気持ちのよいものでした。
又、朝食時にも、
食事が進んでいる頃、そっと顔を覗かせて
「何か不足はありませんか?」と静かに一言。
ご自身達は、キッチン内で食事をされている様子でした
旅の疲れもでている頃です。
ゆっくりと自分達のペースで食事や会話が楽しめたことはありがたく
そういうちょっとしたエピソードが
とても、この老夫婦らしい。この宿らしい・・と
今でも心に残っています。

お互いのプライバシーは尊重し、
ただただ快適で心休まる旅の一日をそっと提供する・・・
このご夫妻は そういう姿勢で宿を営んでいらっしゃったのでしょう。

B&Bは、それを営む人々の形だけ、個性があり、楽しみがあります。
ですから、一言では語れないし、奥深く
ゆえに イギリス旅行の大きな楽しみのひとつとなるのです。


*この日のことを「シャフツベリーのしづかな夕べ」
というエッセイに綴り
いくつか宿の写真も載せています。
どうぞ併せて、お楽しみください。

(2005.2.11)
 

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