Scotch Haggis
(special version: cooking,styling
and text by Manzo)
最大の疑念を抱かせるには
最小の情報を与えることである。
ハギス・・・その存在は知っていても
如何なる物かは長い間の謎であった。
モツのミンチが胃袋に詰められたものだとか
オートミールも入っているのだとか・・
あれこれ想像を巡らせてみても
さっぱり想像がつきかねる。
何しろ、かつての同僚だったイングランド人の語るところに依ると
ただ一言、オエー!なものだ
というのだから・・・
その芳しからぬ風評は、怖じ気付かせ、敬遠させ、
下手物なのだという思い込みを育むに十分であったろう。
しかしながらその一方で、
心の中には
運命の邂逅を待ちわびる、歪んだ愛情が
暗く静かな炎の如く燃え続けていたのだ。
さて
その様な前置きは、あっさり置き去られてしまうほど
出会いは突然にやって来た。
しかも、八雲立つ神々の国で・・・
アバディーン美術館所蔵イギリス・フランス近代名画展が催されていた
早春の島根県立美術館の売店で、
あろう事か、お土産品として缶詰のハギスが並んでいたのだ。
ついに「その時」がやってきたのか?
しかし私は懐疑的すぎたのだ。
ホンモノと缶詰ではやはり、サクランボのように違いがあるのでは?
ここは見過ごして、いつかスコットランドを訪れる日まで待った方が良いのでは?
隣に置いてある、ギネスのシールが付いた笛の方が楽しいのでは??
今度にするか・・・
運命の邂逅を果たしておきながら何故勇気がなかったのか!
ハギスが手に入る機会なんて
そう滅多にある物ではなかったのに・・・と、ホゾを噛んでいたところ、
通販でも買える、というありがたい情報を頂いた。
しかも、缶詰であることは常態でもあるらしい。
そういえばプディングなんかも缶詰があったが・・
かくも永き逡巡の後に、やっと手に入れた、謎の食べ物。
まずは缶から取り出すと、厚手のビニール袋にくるまれている。
袋ごと弱火で煮ること45分
(既に調理はしてある様子なので、温めているだけじゃないのかという疑念は拭えない)
はいおしまい。
さすがに寂しいので、イモも付けてみた。(マッシュとジャケットで)
トマトにチーズも乗せてみると
ええ、何がなんだか、それらしい様子?
さて、思い描いていたお味の方はどうだったのか?
ふふふ
イギリスに旅したことがある方ならば
独特のスパイシーな香りと、もったりとした食感は
どこかで出会った味だと思いますが・・?
貴方の疑念を晴らすことは私には出来ません。
Please, try it !
・女将より・
「ハギスは 不味いのでは・・」という
先入観を拭いきることが出来なかった私でしたが
一口食べてみたそれは、
決してなじみがない味というわけではなく
(したがって、想像が想像をよんで覚悟をきめていたような味でもなく)
むしろBBで迎える朝を思い起こさせる
どこか懐かしい味でした。
イングリッシュブレックファストのお皿に載っている
英国のもっちりソーセージ。
特別美味しいというわけでもなければ、特別不味いというわけでもない、
それでもふいに突然食べたくなってしまう あの味。
あちこちの本で目にした「くせがあり・・」の記述、
通販をお願いした酒屋さんからのメールにあった
「くせがありますが・・・」の‘くせ’を
どうやら私はすでに英国の食卓で 経験していたようです。
ただ あのソーセージはお皿に一本で満足するように
私にとってハギスも それほど多くは食べられるものではありませんでした。
もっともそれは その日 久しぶりにあった友人と
ランチタイムに何時間もかけていたせいかもしれませんけれど!
ともかく
ハギスの本当の味を自分で確かめられ
それまで抱いていた勝手な思い込みがなくなったことは
大きな収穫でした。
次は ぜひ本場で。
ハギスのご注文はスコッチモルト販売(株)さんへ
TEL: 03-3579-8587 FAX: 03-3961-1194
1缶800円で3缶セット+送料、消費税
なのですが、口蹄疫の影響で、販売は在庫限り 輸入再開の目途は立っていないとのこと。
ハギス情報はSt Aubins様より頂いたものです。本当にありがとうございました。