Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
今年は小学校のPTAの役員にあたり、 広報誌作成に携わることになった。 テーマは、卒業。 6年生達が書いた将来の夢と似顔絵が 紙面の中心を飾る。 昨秋から進めてきた作業も大詰めで いよいよ刷り上がってきた新聞を仕分ける為に、 学校に向かった。 届いたばかりの新聞の束は ずっしりと重く、 卒業生の夢がぎっしりと詰まっている。 あんな夢、こんな夢。 あんな未来、こんな未来。 可能性に満ちたその紙面は 何度見てもいいものだ。 一人一人のこれからを 祝福せずにはいられない。 さて、新聞も完成し、 役員も無事終わった。 この数ヶ月、寒風の中通った学校への道には オオイヌフグリやタンポポも顔を出しており 背中は、ぽかぽかとあたたかい。 開放感で、足取りも軽い。 それなのに。 それなのに。 帰宅して、お茶をいれながら なぜかしんみりしている自分に気づく。 今日の紅茶にミルクは要らない。 卒業の季節。 ジンジャーと蜂蜜を効かせたケーキは 辛くて、甘い。 * 夕方、宿題中の娘の教科書が目に入り、 再び、しんみり。 もうすぐ、6年生・・・ (2013.3.12) |
3月のピアノがリパッティなら、 3月のバイオリンはグリュミオーだと思う。 とりわけ、ルクレール作曲の バイオリン・ソナタ ニ長調作品9の3などは 3月そのもの。 窓から差し込む朝の光。 その粒子の一粒一粒に、 一音一音がとけこんで、同化して。 春本番の、春爛漫の、春のうららの その前に・・・ (2013.3.8) ( |
母からの宅急便の包みを開けると、 山口の銘菓、外郎(ういろう)が入っていた。 雛祭りに因み、菱餅の形をしていて 春らしい贈り物に頬が緩む。 「雛あられ 宅急便の 中に入れ」 だっただろうか、 数年前のこの時期、 娘のバイオリンの先生の楽譜立てに そのような句が記された紙が置いてあったことがある。 先生は、ちょうど母と同世代 お孫さんの年齢も娘とそう違わず、 同じく、簡単に会える距離には暮らしていない。 誰の句かは尋ねなかったけれど お孫さんに、娘さんに、と 宅急便に雛あられをしのばせる母心は そのまま先生のお気持ちに違いないと あたたかな気持ちになった。 私が母からの宅急便を初めて受け取ったのは 家を離れた大学一年生の時だ。 以来、何度も有り難く箱を開けて来たけれど 故郷や母の味と一緒に、 どこでも買えるようなお菓子まで、いつも詰められている。 どこでも買えるようなお菓子、 でも、私がそれを好きだと知り、手に取り、 宅急便でわざわざ届けてくれるお菓子は どこでも買えるものでは、 決してない。 3月3日。 風はまだ冷たいけれど 時折覗く陽射しの明るさは、 紛れもなく、3月のもの。 春の弥生の、この佳き日。 久々に口にした外郎は なつかしく、やさしい味がした。 (2013.3.3) ( |
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