Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
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秋といっても、今のこの一瞬だけ。 おまけに扱っている店も限られているから しっかりとアンテナをはっておいて 逃すまじ、紅玉の時季。 無事に手にした紅玉を会計してもらっていると 「アップルパイをつくるんでしょ」 昨夜の絵本の影響に違いない、 息子が得意げに見上げてくる。 幼稚園帰り、芥子色のベレー帽が 嬉しそうにぴょんぴょんとジャンプ。 紅玉を袋に詰めた店員さんは ゆったりと笑いかけながら 息子にそれを手渡してくださった。 「・・・つくってもらってね。」 でも、実は未だパイには至らず。 紅玉は、そのままおやつになり、 甘煮を作れば、朝食に消え その後も買い足しに行ったというのに 気がつけば、既にパイにするには心許ない量。 中途半端な残りは結局ブラウニーに焼きこむことにした。 「それに、今のアップルパイで思い出したけど、 松村もお前と同じアップルパイが好きなんだ、濃いお茶で」(*1) アップルパイ、といえば 尾崎翠の戯曲「アップルパイの午後」。 アップルパイと、濃いお茶。 その分ち難い関係・・・が書かれているわけでは ないのだけど、もちろん。 でも、だって、やっぱり、 アップルパイには、濃いお茶でしょう! 濃くいれた、香り高いストレートの紅茶。 同じく私もアップルパイが好きなんだ、濃いお茶で。 あとは、秋の午後のひんやりした空気があれば・・・ やっぱり、焼こう。焼かなきゃね。 本当はちょっと腰が重い。 なにしろパイは手間がかかるから、ちょっとした覚悟が必要。 でも、アップパイと濃いお茶、 その魅力にはかなわないから 紅玉がお店からなくなってしまう前に もう一度買い足しに行きましょうか。 そんな思いを巡らせながら、 お手軽な「アップルティーの午後」に遊んでいると やってきたるは、くだんの絵本(*2)を抱えたベレー君。 凄みのある調子で、ひと言いい放った。 「ママっ!パイをつくるんだったら、はやく小麦粉ひかなくちゃ」 そ、そこからですか! *1「アップルパイの午後」尾崎翠 (ちくま日本文学全集) *2「アップルパイをつくりましょ 〜りょこうもいっしょに しちゃいましょ〜」 作 マージョリー ブライスマン 訳 かどのえいこ (BL出版) 材料集めに世界各国を巡って、 小麦を挽いたり、シナモンをとるためにクルンドの木を探したり。 つまり「いち 」からアップルパイを作るこの絵本、 娘も大好きでした。 前にこの絵本について書いたのは・・・調べてみてちょっとびっくり。 2004年の秋、もう10年前のことなのですね! 2004年 秋 |
窓際のCD棚の上の壁に絵を掛けたい・・・ なんて考えていたけれど。 光が描きだす絵があまりに饒舌で このままでもいいかな、と思い直す。 プラスしたり、マイナスしたり、 位置を変えては、また戻し。 部屋作りは、いつも現在進行形。 ずっと発展途上中。 ああでもない、こうでもない 決して完成することがない。 すっきり整った心地よさと 日常のほどよい生活感とのバランス。 理想を形にするのは難しいけれど だからこそ、部屋について考えることは楽しく、 思いは尽きない。 絵柄自体は賑やかで饒舌なのに 佇まいは、静やか。 紅茶の美味しい季節。 Blueにきりっと澄んだ紅色が映えます。 (2014.10.01) 4だ |