Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
「暮れ日誌」 受験生をかかえ、今年の帰省はなし。 例年の惨状!?からようやく学習して 仕事もほどほどにセーブ。 願わくば、 ゆとりをもって年の瀬を送りたい。 そんなこんなで 暮れなずむ暮れの日々を、徒然と。 * 12月31日 2016年に嬉しかったことのひとつは、 東京で竹久夢二美術館を訪れることができたことでした。 ただでさえ時間のなかった上京スケジュール、 でも、展示テーマを知ったとき、 行かねば!と決心したのでした。 「本からはじまるメッセージ展 〜ブックデザイナー&詩人の顔に迫る〜」 デザイナーとしての夢二に惹かれる私には 心躍る、大満足の企画でした。 美術館オリジナルの夢二デザインのブックカバーも購入。 同じくショップで買い求めた絵葉書も、 デザインを損ねない印刷と、 書き心地抜群の紙質に感動しました。 雨上がりの上野公園をつっきって、 歩いて、歩いて、たどり着いたので 美術館に併設されたカフェでいただいた珈琲が 沁みるようでした。 カフェにはバイト募集の張り紙が。 「私、ここにバイトに来ていいかな?」 家族にお伺いをたててみます。 「新幹線、それとも飛行機で?」 こんな私にいつもつきあってくれる面々に感謝。 すべて、すべて 晩秋の幸せな思い出です。 12月30日 普段の食事に加えて、お正月の支度。 小さな台所で、やりくりに苦戦する。 でも、秋に読んだ記事を反芻し、思ってみる。 これはこれで、 年末のだいどこ景色として、「整って」いるんじゃないかな。 *** (以下、秋に書いたものです。) 昨夜から降り始めた雨が 目覚めたときもまだ降り続いていた。 キッチンの窓越しに、 庭の木々が冷たく濡れそぼっている。 こんな休日には ノートに書き留めたり、ファイルに挟んだり・・・ レシピや料理記事の整理をするのにうってつけ。 新聞から切り抜いておいた建築家、中村好文氏の言葉を あらためて、読み返す。 「美しく散乱する台所、 あるいは多少の散乱くらいでへこたれない大らかな台所が 私の理想です」*1 その後、開いた雑誌の中でも 再び、中村氏の名前を見つけた。 その中で、氏と対談されていたデザイナーの皆川明氏も こんな風におっしゃっているのだった。 「調理道具が見える場所にあって、食材が並んで、下ごしらえができて そんな状態で景色が整うキッチンに惹かれます」*2 キッチンは、生きている。 皮を剝きかけの野菜があり、汚れた鍋があり、 水しぶきは飛び、作り手が絶えず動き回る。 いろいろあってこそ、 生きているキッチンの証拠。 そして「そんな状況で景色が整う」ということが キッチンならではの美しさだ。 お二方の言葉に心楽しくなり、 私もキッチンへ。 冷蔵庫をのぞく。 ぐんと気温も低いから、体があたたまるものがいい。 今日は、ありものでドリアにしよう。 *1 折々のことば 鷲田清一 選 (朝日新聞) *2 CASA BRUTUS特別編集 ミナ ペルホネンと皆川明(マガジンハウス) 12月29日 娘にデッサンを教えていた万蔵氏が、言った。 「上手に描こうと思って描いている時にしか、 上達はしない。」 一日の疲れと、部屋の暖かさで 弛緩しきっていた心身に ぴりっ、と電流が走った。 そうか、そうだよね。 それって、絵の問題だけじゃない。 どんなことでも、 意識して取り組まないと、前進はないんだ。 12月28日 「むこうは、今、雪ふってるって。」 受話器を置くなり、娘が言った。 電話線のずっと向こう、 しん、とした白い街が、 一瞬まぶたの奥に。 でも、実際の窓の外は青空だ。 冷え込みは厳しいけれど、 よく晴れた師走の空が広がっている。 こんな時は、「晴れの国」に住んでいることが ちょぴりうらめしい。 せめても、と雪の結晶が描かれた アンのお皿を選んだ。 今夜は、年賀状を書き上げよう。 いろいろな街に暮らす大切な人たちに・・・ |