Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
isasu 単行本、文庫本、原書。 ひとつの物語を三冊も所有しているのは この作品しかない。 「日の名残り」 カズオ イシグロ 「The Remains of the Day」 Kazuo Ishiguro (2017.10.07) バス停に向かう道の一画で ふいに懐かしさのスイッチが入った。 あれ・・・この感じ、どこだったろう・・・ 植栽の雰囲気? それとも天気のせい? 先月、台風を前にした朝のことだ。 街路樹は小雨に湿り 道端には濡れた木の葉や実がはりついている。 強い風に緑がざわざわと揺れていた。 Beaconsfieldの通学路だ! すぐに思い至った。 約20年前のちょうどこの時期、 「Merrion House」という英語学校に通っていた道。 9月の英国はすでに秋色濃く、 霧や雨に煙る朝も多かった。 バスを待ちながら、 目の前の風景と、懐かしいそれを重ね、 あの頃の自分を思い出す。 当時、大きな困難があったけれど 分厚いファイルと、重い辞書をリュックに詰めて 「Merrion House」への道を歩いたものだった。 そして、今の自分のバッグの重みに、可笑しくなる。 結局、今も同じようなものが入っているのだから! 夏から、新しい仕事に就いている。 英語という点においては、 これまでの集大成のようであり、 また、原点のようにも感じている業務だ。 もちろん楽しいことばかりではないけれど、 あらためて自分は「英語」を通して、 いろいろ人や風景と繋がってきた、繋がっている、 という実感を強くしている。 自宅で英語を教えていた母が 問題を作成していたタイプライターへの憧れ、 第一志望の大学に破れ、 ふて腐れた私を受け止め、認めてくれた 英語科の面接官の言葉、 そして、もちろんBeaconsfieldの思い出も・・・ すべて、すべてが、繋がって 今のバッグの重さがある。 だから心強く、だから頑張れる。 さて、9月21日は、結婚記念日。 英国では、国籍や宗教に関わらず 町のRegistry Officeで結婚式を挙げることができるので 私達もまた、そこでの式を選んだ。 「Merrion House」の先生がwitnessになり、 生徒のみんなが参列してくれた。 式の後は学校の庭でパーティーをしていただき そこから新婚旅行に出発したという 特別な思い出だ。 19回目の記念日は、家族で食事に。 待ち合わせ前、立ち寄った店で、 ユニオンジャックのショートブレッドみっけ。 今年も無事に記念日を迎えられたけれど 9月はなにかと気を揉む事も多く、 泣き笑いの日々だった。 旅はまだ、道半ば。 山あり谷あり。That's life. でも、旅の仲間がいればなんとかなるものだ。 家族一人一人の存在を、心から大切に思う。 そして・・・旅のお供は甘いものに決まってる。 ショートブレッドは、もちろん迷わずお買い上げ! *写真は、Beaconsfieldで暮らしたアンの家の 庭に続く扉。 (2017.9.28) |
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