Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
駆け抜けた2018年でした。 Blue Willow Journalは、 書くことでしか、 振り返り、確かめ、進んでいくことのできない私が 過ぎ去っていく日々を書き留めておく 備忘録のような場所です。 でも、自分のためだけに書いているというわけでは もちろん、ありません。 自分の胸の内を文章にして、アップする時は いつも打ち明け話を聞いていただくような気持ち。 読んでくださっている方たちの存在を、 とても近しく、嬉しく感じているからこその Journalでもあるのです。 いつもご一緒してくださるみなさんに 感謝の気持ちを込めて・・・ この一年、どうもありがとうございました。 来年もどうぞよろしくお願いいたします。 ふしの (2018.12.31) 一ヶ月の間に、5回も観てしまった番組がある。 「ショパン 時の旅人たち」という、 昨年9月に行われたピリオド楽器コンクールのドキュメンタリーだ。 ピリオド楽器とは古い様式の楽器のことで、 その中でも、ショパンの時代に使われていたピアノは、 フォルテピアノと呼ばれている。 それはモダンピアノと呼ばれる現代のピアノとは異なる点も多く、 音は小さく繊細で、減衰もはやい。 また、楽器のデザインや鍵盤の大きさのようなことから、 音色、響きに至るまで 一台一台が異なる個性を持っている。 演奏家に求められることも、自ずと多い。 弾く曲や、自分の技術に合わせてピアノを選定するところから、 コンクールは始まった。 19世紀のピアノと対峙する演奏家達の中で、 常に、ショパンの心に寄り添う演奏をしようとしていた 日本人の若き演奏家、川口成彦さんの姿が印象的だった。 とりわけ、ファイナルに残った彼が ピアノ選びに最終的に下した決断とその理由には 強く、心を揺さぶられた。 そして、その決断で演奏された ピアノコンチェルト第2番の素晴らしかったこと! 音色の多彩さこそがピリオド楽器の魅力だと 川口さんは語られている。 「今のピアノが濾過された水だとすれば、当時のピアノは砂や葉っぱが交じり、 少し濁った川の水のようなもの。 作品のキャラクターをよりナチュラルに表現できると感じています。」 そのようなインタビューも読んだ。 いつか川口さんが演奏される「舟歌」や「ピアノソナタ第3番」を 実際に聴いてみたい。 つれづれに書いてきたその年のjournalを 毎年、年の終わりに読み返します。 2018年分を読み返していたら 既に「ショパン」というキーワードが二回出てきたことに気づきました。 今回で、三回目。 ショパンをよく聴いていた20代の頃、 聴けば聴くほど、 彼の旋律に流れている「ZAL」(ポーランド語で、傷む心、郷愁、など)に 深く共鳴するようになっていきました。 門外漢でありながら、 当時開催されていた、ショパンの会コンクール(論文作文部門)にエントリーして 熱い想いをぶつけたことも。 若さゆえ、の切羽詰まった筆だったに違いないのですが その想いに応えていただけた歓びは 今も、遠く甘やかな夢の中の出来事のように (まるでピアノコンチェルト第2番2楽章の旋律のような甘やかさで!) 思い出します。 もうすぐ、新しい年。 来るべき年のカレンダーはショパンの筆跡ですし、 川口さんのショパンのアルバムも発売予定とのこと。 新しいショパンと出会える年になりそうで楽しみです。 そして、2019年は、 あらためて、ショパンの「ZAL」を聴き尽くしたいと思うのです。 * * NHKドキュメンタリー BS1スペシャル 「ショパン 時の旅人たち 第一回国際ピリオド楽器コンクール」は、 すでに何度か再放送されるほど好評のようですが 年明け1月5日にも、再び放送されます。 コンクールファイナルでの川口成彦さんの演奏は、 you tubeでも聴くことができます。 (2018.12.30) 仕事納めまであと2日。 仕事の段取りも、心算も万全。 これをクリアしたら晴れて冬休み!と 出勤の支度をしていたら、 学童に行く予定だった息子が、 体調がよくない、と涙ぽろぽろ。 息子の様子を見ながら 連絡すべき場所を頭の中で確認。 これをクリアしたら!が、 ガラガラと崩れ あっという間に振り出しに戻る。 振り出しは、でも ゼロではない。 ということが遅ればせながらに分かってきた。 今日のような場合だけではなく 万事、予定は未定。 がっくりくることも、動揺することもあるけれど、 何が起こるかわからないのが常だから できない、ではなく どうやったらできるか。 どこまでならできるか。 それを見極めたなら、無駄に心を揺らすことなく 淡々とこなしていくしかない。 気持ちを切り替え、 眠る息子の横で、遅れに遅れていた年賀状を仕上げ、 目覚めたら、彼にとっての特効薬 映画「ドラえもん のび太の宝島」のDVDを観て、 一緒にすがすがしく涙した。 午後からは休みのとれた万蔵氏にバトンタッチして 昼のバスに乗って会社に向かう。 いつもと同じ路線でも 時間が異なると、客層も、車窓の風景も違う。 師走の空は淡く澄んで、 街はすっかり年の瀬の顔をしていた。 晴れて、冬休み! 林檎を煮る甘い香りが広がる中、 あれもしたい、これもしよう、と 休みへの期待もあまく広がる休日初日の朝。 煮林檎はカスタードパイに。 夜更かしのできる冬休みの夜のために。 (2018.12.28) |