Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
娘と待ち合わせて、珈琲豆を買いに。 風の冷たい日で 店内に入ると 自らが引き連れてきた乾いた秋風と 馥郁たる珈琲との香りに包まれて 抗えるはずもなし。 一杯ひっかけてく?とばかり(はい、珈琲ですが。) 豆を買う前に、まずは一杯。 「一杯ひっかける」というのは 出陣前の武士が、鎧兜を身につけたまま 鏡開きをした樽からくんだ酒を一杯体にひっかけて 心身を引き締めたことが語源なのだとか。 鎧ならぬ、コートをきたままカップ片手に考える。 一杯の美味しい珈琲は 心身を引き締めてくれるだけじゃない 引き締めながらも、同時に弛緩させてくれ 鼓舞しながらも、鎮めてもくれる。 その時の自分が必要としている「動と静」のエネルギーを いちどきにチャージしてくれる。 その想いはどうやら娘も同じらしい。 すっかりエナジーチャージが完了した私たち、 好みの豆を挽いてもらい、 いっそう冷たい風の中、家路を急いだ。 今やえ 今や飲み仲間の彼女も(ええ、珈琲ですが。) もうすぐ19歳の誕生日。 ほんとうに「一杯ひっかける」ことができるようになるまで あと一年だって! びっくりだよねえ、まるちゃん。 (2020.11.11) ああすればよかった、とか こうしなければよかった、とか 仕事上のモヤモヤをひきずったまま週末に突入。 これって、一番避けたいパターンなのだけど どうしたって、時々やってくる。 気分転換、とか リフレッシュ、とか もっと上手にできたならいいのに いくつになっても下手なんだな、これが。 考えても仕方のないことを ついつい考えてしまう性質。 こんな日に限って、お天気だってどんよりだ。 なんとか子供達をバイオリンのレッスンに送り出して ようやく空腹を感じ始めた。 トマトジュースを注いで チーズトーストを焼く。 ガリガリガリと黒胡椒を挽いて キッチンで立ったまま、食べる。 せっかくの休日なのに・・・ まとわりつく重苦しさを持て余し、 いや、いっそ もうこの週末はどっぷりこんな気分でもいいやと、 開き直ってチーズトーストを齧る。 いいや、いいやと 黒胡椒をさらに挽く。 (2020.11.07) |
10月のとある日曜日。 子供達が挑戦した検定試験が終了。 それぞれ、自分の実力よりも少し上に目標を定め この日を目指してきた。 向かう場所がはっきりしていて そこに向かって一歩一歩進んでいくこと。 道のりは平坦ではないけれど 進んでいると思えない時も、 一歩一歩を繰り返すこと。 そうやって小さな、でも確かな手応えを 自らが獲得していく歓びって 格別だ。 寄り添ったり、見守ったり、 そして、もちろんキッチンからだったり・・・ 山あり谷ありな一歩一歩に さまざまな形で伴走できることの歓びも また、格別。 ひとつの挑戦が終わり、 また、新たな一歩を踏み出す。 そんな、秋の日。 (2020.10.19) |