Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
夕暮れ近くの海に。 早朝の海を見に来た昨年の夏から一年、 ずっと足踏みしているみたいな日々だけど 寄せては返す波の音を聞いていると 少しだけ呼吸が深くなる気がする。 貝殻や石ころやシーグラス。 海岸は自然と時間が創り出した宝物の宝庫。 これ、もしかしてウィロウ? 向かい合う二羽の鳥が見て取れる器の破片を見つけたけれど ちょっと違うかな。 少し車を走らせて、 瀬戸大橋が見える山まで移動。 夕暮れの瀬戸内海はどこまでも穏やかで 夏の終わりの風に いつまでも、いつまでも吹かれていたい。 マスクなんて取り去って。 瀬戸大橋が完成した年、 夏の家族旅行は、瀬戸大橋を渡って四国を巡るものだった。 確か私は高校二年生で、 当時の母は、今の私よりも若かったんだなあ。 思い出の断片をかき集めながら 母にラインで送ろうと何枚も写真を撮ったのに なぜだろう、 送信ボタンを押すことはできなかった。 眼下の集落や漁船に灯りがともりはじめ そろそろ日没。 影絵のような木々の茂みから 蝉の声と虫の音が 一緒になって背中を押してくるものだから 急ぎ足で山を降りた。 山頂から見渡せた辺りは 蛸漁で有名。 蛸飯は郷土料理だ。 このご時世、立ち寄ることはしなかったけれど 後日、近所のスーパーで間に合わせた材料で 蛸飯を炊いてみた。 生姜を効かせて炊いた蛸飯はさっぱりと、 そして、じんわり味わい深い。 8月ももう終盤。 暑さがまた、戻ってきた。 (2021.8.29) |