Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
先月、娘がイタリアを旅してきました。 一足早い、卒業旅行です。 コロナ真っ只中に大学に入学し 憧れていた海外研修はことごとく中止に。 ようやく再開された時には、就活が重なり 涙をのんだ彼女でしたが 就職も決まり、気持ちも切り替えたのでしょう。 短期旅行でいいから 自分の惹かれる風景を見てきたい! イタリアへ行ってくる! 細々と貯めてきたバイト代と、限られた日程と。 制約の多い中、 着々と準備を進め、旅立っていきました。 おみやげの中には、シュトーレンも。 毎年、クリスマスの時期に楽しみにしているシュトーレン。 うすくスライスして少しずつ食べても あっという間に食べ終わってしまうのですが イタリアのパン屋で買ってきてくれたシュトーレンは 大きく、ずっしり重い。 (サイズは、我が家のウサギ君の背中ほど!) こんな風に心ゆくまでシュトーレンを味わえるクリスマスは 一生に一度かもしれません。 シュトーレンを食べながら 旅のあれこれを聞かせてもらう日々が続いています。 スマホという心強い相棒があるとはいえ、 計画から、諸々の手続きや手配、 そして実際の旅行。 行程の一切合切を一人で軽やかに進めてきた姿は なかなかに、頼もしい。 一人で行く、と聞いたときは 正直、動揺もしましたが 自分が彼女の年齢だった頃のことを思い出したら 一人で、というキーワードこそ 大切にしたいことだったようにも思うのでした。 自分の心の指針に沿って、自分の行きたい方向に、 自分の足で歩いていくということ。 随筆家でイタリア文学者の須賀敦子氏は フィレンツェを「持ってかえりたいものが山ほどある街」と* 記されています。 娘本人は須賀氏の著書に馴染みはないようですが フィレンツェこそが、旅の最大の目的地でした。 22歳の彼女は、ひとりこの街を歩き、 何を見て、何を感じ、 有形無形の何を「持ってかえって」きたのでしょう。 特大シュトーレンのように 切っても切っても、 まだまだ、話は尽きそうもありません。 *「フィレンツェー急がないで、歩く、街。」 より (風景写真は、娘撮影のフィレンツェの街並み) (2023.12.17) 昼過ぎから冷たい雨が降り始めた 12月あたまのウィークデイ。 今週は、仕事が年内最後の山場を迎え 一切の余裕なし。 凝り固まった体と心が、 悲鳴をあげてる。 こんな日は、(カンタン)煮込み料理に限ります。 刻んで、煮込んで、味をみて。 料ることで、解放されてくる。 キッチンに立つことで、回復してくる。 本日のメニューは チキンのカレークリーム煮込み。 トマトの酸味も効いていて、ほんのりスパイシー。 この時期の定番、 クリスボッティの「December」をON。 湯気のあがる一皿と トランペットのまろやかで甘い音色が 体の芯まで染みわたる。 (2023.12.5) |
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