Blue willow のある食卓
    ーEveryday with Bluewillowーー








    五月










    *季節のはじまり*



    仕事帰りのバス、
    前の席に座っていた青年の半袖シャツが
    マドラスチェックだった。
    一足早い夏の香りに
    ちょっと心が躍る。
    夏なんて苦手なのにね、
    そんな自分を可笑しく思いながら
    翌朝、マドラスチェックのハンカチをバッグに入れた。














    *案ずるより・・・*



    夕刻のバスでの出来事、ふたたび。
    疲れた体をシートに沈め、
    車窓をぼんやりと眺めながら考える。
    今夜のお夕飯は何にしよう。
    何にしよう・・・
    窓の外を流れていく車の列の中、
    車体になにやら書きつけた一台のトラックが通り過ぎていった。
    曰く、「案ずるより、肉が易し」 !?



    半分寝てたのかしらん、私。
    でも、帰宅して検索してみたら
    それはお肉屋さんのトラックで
    確かに存在していたのでした。
    もちろんその日のお夕飯は
    案ずることなく、お肉一択!






    *出会い直しの音*




    息子が、再びバイオリンを弾き始めた。
    幼稚園児の頃、姉に憧れてバイオリンを始めたものの
    小学校卒業とともに、楽器も卒業。
    その後、未練も興味も微塵も見せなかったのに
    高校生になった今、
    「やっぱり、弾きたくなった」と突然に。



    レッスンに通うわけではなく
    自分の好きな曲を好きなように弾くだけだが
    積み重ねてきた幼き日の7年間は大きい。
    ちゃんと体は感覚を覚えているし
    弾く、ということをしなかった3年間、
    聴く、ということで、
    何か彼の中に溜められてきたものがあるようだ。
    今は、自分のイメージする音や曲への輪郭がはっきりとあるから
    音も全然ちがう。
    そんな風に楽器と向き合える年齢になったということなのかもしれない。
    バイオリンとも、音楽とも
    新しく出会い直したみたい。
    我が家に再びバイオリンの音色が響きはじめた
    2025年の初夏です。






    *5月のアンソロジー*


















    新緑の勢いに負けじと
    5月のアンソロジーを読み、
    抹茶とコーヒーのマフィンを焼く土曜日。
    全身で緑を取り込んで
    滴る5月にさよならを告げて。














    (2025.5月末)