冬時間
3歳児の情景
・にこりんぼ・
ふう、っと肩を落としたら
隣にあなたの笑顔があった。
「ママは、‘にこりんぼ’だよ」
笑っていよう。
マイッタ・・・のため息と涙に流されそうな時にも
できるだけ にこりんぼでいよう。
いつも にこにこ、にこりんぼでありたい。
せめて、あなたの笑顔の前では。
素敵な言葉を、ありがとう。
・くま くま 狂詩曲・
戸外でも屋内でも
遊びの中心は、ごっこ遊び。
学校ごっこ、病院ごっこ、お料理ごっこ、電車ごっこ・・・
そして 相変わらずくまちゃんがいつも彼女のお供です。
時に先生、時に患者さん・・と
一人何役もこなしながら
あちらこちらへ、引き回される くまちゃん。
汚れもかなり目立ってきましたが
ここまで来ると、私まで情がわくというもの。
家族の一員のような気にさえなって
時折、娘のおむかえの車に同乗させてあげたりして!
娘の喜ぶ顔みたさ、というのも もちろんなのですけれど。
お弁当箱も、くまちゃん。
今日は我が家の定番、
鶏そぼろ、炒り卵、ピーマンのゴマ炒めの三色弁当に。
これは二色で彩りが悪いなあ・・ですって?
ピーマンは小さく切って、そぼろと卵の下にしきつめています。
ピーマン、と意識しなかったら 気づかずもぐもぐ。
小さい子にはよくあることですね。
それとも これも くまちゃん効果!?
・女の子は、なにでできてる?・
帰宅するなり、口をとがらせて 駆け寄ってくる娘。
出かけた先で 色をめぐって一悶着あったとのこと。
それを黄色と言ったパパは 違うと怒られ
卵色と言い換えても 憤慨されたらしい。
「あれは、カスタードクリームの色でしょっ」
さっさと部屋に入ってゆくなり
口ずさんでいるのは なじみの旋律。
♪ドーは、ドーナツのドー。
レー、はレモンのレー。
そして気がつけば、こんな歌詞。
♪ケーは、ケーキのケー
あらら、ら。
勝手な音階ができちゃうくらい
あなたの頭の中は、甘い香りでいっぱいなのね。
ふふ、マザーグースでも歌われている通りだ。
‘女の子は、お砂糖にスパイス、
おいしいものだらけでできている’って!
・それだけじゃない・
何か大きな信念があるわけでなし、
育児本を読んだり、参考にするわけでなし、
私の子育てへの取り組みは、熱心とは言えないかもしれません。
そんな中、以前 出会ったこの言葉は
ずっと心に残っている 数少ないひとつです。
それは‘子どもを「それしか知らない」状態に置かない’ということ。
世界も広がり、自身の好みや価値観も育ってくる
三歳児の今だからこそ、
とりわけ、このことを大切に思います。
言葉や、本や、テレビや、遊びや、服装・・・
子供と、子供を巡る世界に既存するものの中には
大人の思う「子供って、こんなものが好きだよね」によって
成り立っていると思えるものも 結構多くあるように感じます。
子供達が 本当にそれを好きなのではなく、
それしか知らない世界を
大人が作ってしまっているのではないか、と思うもの。
無限の可能性と選択肢を持っているはずの子供達に
それしか知らない、という状況を与えてしまうのはもったいない!
子供が、何にその子なりのきらめきを見つけるかは分かりません。
ですから、それが可能なことである限り
できるだけ いろんな物に触れさせてあげたいし、
その中で 子供自身が選び取るものを尊重してあげたいものです。
大人の考える「子供が好きそうな」という枠をはずしてみた時に
はじめて、見えてくるものもあるのかもしれませんし
大人は、その部分も見せてあげてこそ
フェアじゃないかな・・・
・おっしゃるとおり・
「ねえ、ママ」
「なあに?」
一日に何度となく繰り返される このやりとり。
何を言い出すやら、の三歳児。
かわいらしく無邪気で 時に突拍子もなく、
そして 辛辣。
「ねえ、ママ」
「なあに?」
「ママはお迎えに来てくれる時の方が、かわいいねえ」
只今、休日の朝。
ノーメイクで、パパのTシャツを拝借。
そろそろ切りたいなあ・・と思っていた髪のハネをピンで止めつつ
目をこすっておりました・・・
・as precious as・・・・
その意味を分かってか、分からずか、は
ともかくとして
母の日に初めてのプレゼントをもらいました。
プリスクールで一生懸命作ってくれたのでしょう。
紙のお花も、たどたどしい文字も
ちょっぴり こそばゆくて、嬉しい贈り物です。
年を重ねて さまざまな事を経験して
‘月並み’と言われるものの中に
揺るぎない真実を感じるようになりました。
若い時には、平凡で退屈・・・
くらいにしか思っていなかったことの偉大さを
遅まきながら感じています。
かつての自分に備わっていなかった その謙虚さは
まっさらな命を授けられて、
手探りの子育てを続けるうちに
ごく自然と 育まれてきたものなのかもしれません。
月並みだけど、願いはひとつ。
健やかであってほしい。
心も体も、健やかに。
そして、月並みだけど こんな言葉しか見つからない。
生まれてきてくれて どうもありがとう。
そして 先日の参観日では
父の日のプレゼントとして
母子でペン&カードスタンドを作りました。
帰り際、先生がスタンドに入れて持たせてくださったのは
子供の写真の添えられた メッセージカード。
読んでいると、あらためて、
今、というこの時は 二度と戻ってこない
かけがえのないものなのだと
その小さな手が、小さなほほえみが より愛おしくなるのです。
そして、又、こうして、家族だけでなく、
あたたかな眼差しで 子供の成長を見守ってくれる人の存在に
感謝の気持ちでいっぱいになるのでした。
(2005.6.24)