冬時間
イギリスのことを話す時、
「懐かしい」という表現を私はよく使うけれど
それは、特定の風景を懐かしく思い出している、といった
直接的な懐かしさではない。
それはもっともっと、
遠く、遙かで、
感覚的で、運命的なもの。
もしかすると 遺伝子が「懐かしい」と呟いているような、
そんな 懐かしさ。
イギリス的だと感じることを前にすると
そういう懐かしさに 私は包まれる。
イギリスという国をよく知らない小さな頃から
惹かれてきた物、ひとつひとつのカケラ達を、
それは物語であったり、質感であったり、デザインであったり、景色であったり
そういう具体的、抽象的、あらゆるカケラ達を、
ある日、並べてみたら、
そこには イギリスが透けて見えた。
全部が繋がっていることに、気がついた。
色もまた、しかり。
ずっと好きだった深緑色が、だから、
British Racing Greenと呼ばれるものだと知ったとき、
ああ、そうなんだ、と
頷いてしまったのだ。
やっぱり そうだったのね。
キャンプの朝、
朝露にしっとりと濡れそぼったBritish
Racing Greenの車体は
はっとするほど、美しい情感をたたえていて
思わず息を飲むほどだった。
はらり落ちてきた枯れ葉や
子供達が集めてきたどんぐりなど
秋のえんじをさし色に、
その緑色は よりつややかで、深みを増しているように見える。
立ちすくんでその光景を眺めながら
自分の中の「懐かしい」感情が
渦まいて止まなかった。
***
二家族合わせて11個もあったかな。
子供達が作ったてるてるぼうずのおかげか
台風に影響されることなく
今年も秋のキャンプに行ってくることができました。
今年のメニューは、
骨付きチキンと野菜の煮込みと きのこのリゾット。
そして、朝食には もちろんごちそうトースト。
作りたてアツアツの紅玉ジャムとカッテージチーズをのせて
大人も子供も「ん〜おいしい!」
*British Racing Greenとは*
かつてのモータースポーツの世界に於いて
国際レースの時にどの国の自動車か判別するために
ナショナルカラーが設けられていました。
その際に、イギリスを表していた緑色の呼称です。
(2004.10.10)