Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
連休最終日は、雪になった。 静かな朝。 バレンタインのお菓子を作るという娘に キッチンは明け渡し、 私は、リビングでカーテンを開け放つ。 見飽きることない白い世界を どのくらい眺めていただろう。 ふと、室内に視線を移して 目を疑った。 キッチンにいたはずの娘が いつのまにかテーブルについてごそごそやっているのだ。 手にしているのは・・・ ペンチ!? 生チョコをサンドしたクッキーを作る予定だったのでは? 「ちょうどいいクッキーの型がないから、 アルミ缶切って作ってるところ」 ペンチ片手に、なんとも楽しそうなこと。 クッキー生地を混ぜてたときよりいきいきしてるんですけど? かくして完成したオリジナルの型は、 アルミで怪我をしないよう、 厚紙と、コンビニの木製アイススプーンで作った安全な持ち手つき。 切れ味鋭く、すっと型抜きされた生地は 焼きあがっても一律、美しい。 (私ならば、生地を「だいたい」同じ大きさに切って 「だいたい」同じような大きさのクッキーに焼き上がり なんとなーく「だいたい」な出来となる、ことが予想される) ひとつひとつの作業過程を丁寧にしていくことが 仕上がりの出来をこんなにも大きく左右するんだなあ。 それにしても、 バレンタインにペンチって・・・ こんな女子高校生いる? さて、17歳のバレンタイン。 端正に出来上がった娘の生チョコクッキーは 本命君のもとに、まっすぐ渡ったみたいですよ。 そして、47歳のバレンタインは ざっくり焼きっぱなしのチョコレートケーキで だいたい、いつも通り。 (2019.2.14) 冬ごもりの予定一転、 ふと思い立ち、目的なしの街歩きにふらり。 足の向くまま、気の向くままの 如月逍遥。 ほくほく帰宅しておみやげを並べたら テーブルの一角が そこはかとなく春の色に。 生菓子は、「下萌」。 冬萌、については先日書いたばかりですが 「下萌」は、残雪や枯れ草の中から草芽が出始めることだそう。 ひびわれる地面のような生地の下には はっとするような萌黄色の餡が潜んでいました。 (2019.2.10) 土曜日の午前中は 姉弟がバイオリンレッスンに通う時間だった。 でも娘が高校生になってからは 部活だ、模試だと時間がとれず。 彼女のレッスンは変則的になり 最近は息子が一人で通うことも多い。 レッスンに向かうふたつの背中を 「子供時代のやさしい思い出になりますように・・・」 そんな想いで見送っていた日は遥か。 娘は春から高校三年生。 最後となる可能性もある発表会で弾く曲の練習も始まり、 なによりも、 子供時代そのものの終わりが近づいている。 風はまだ冷たいけれど 日差しの明るさが 立春近いことを告げてくれる朝。 私も久しぶりに息子のレッスンに付きそった。 娘が7歳の時から通うこの部屋は 何も変わらないように見えるけれど、 10年の月日は確かに流れた。 その日の夕方、高校から戻ったその足で 娘もレッスンに行った。 疲れている様子を見て、 ひととき、先生がお茶の時間をもってくださったという。 「抹茶入り玄米茶と餡ドーナツをごちそうになりながら おしゃべりした!」 先生は本当は美術の道に進みたかったとのことで 絵を描く娘をいつも気にかけてくださる。 いつか絵をプレゼントする約束をしているらしく 娘はそれをこのレッスン室に別れを告げる時だと考えているようだ。 レッスン室を去る時、 それは子供時代の終わり、ということになるだろうか。 その絵を見るのが楽しみなようで、 まだしばらくは見なくていい、とも思う。 抹茶入り玄米茶を煎れて 私もひとり、お茶の時間。 (2019.2.2) |