Huntsman's Omelette
しっかり朝食を食べたい朝には
イギリス風のピザ、
グロスター州の卵料理
Huntsman's omeletteはいかがでしょう?
オムレツですから生地のベースは卵。
生クリーム、パン粉、塩こしょうを加えてしっかり作った生地に
お好みの具をのせてグリルします。
今日は、鳥もも肉、玉ねぎ、ピーマン、トマト、
そしてたっぷりのチーズ。
Huntsmn(狩人)という名の示すとおり
もともとは狩りで採れたものをトッピングして
食べたのだそうです。
グロスター州は
コッツワルズ地方の一部をなしています。
日本でも大人気のコッツワルズ地方は
蜂蜜色の村が点在する まさにおとぎの国の世界。
どこを切り取っても絵になるので
はじめて訪れた時は すっかり舞い上がってしまったことを覚えています。
少し冷静になって見えてくるのは
人間が暮らす町としてのコッツワルズ。
そこは やはりおとぎの国ではなく
私達が抱えるような社会問題とも無縁ではないのですね。
この地方のとある村を訪れた時のこと。
公衆トイレの貼ってあった一枚の紙は
(kitchenのコーナーなのに ごめんなさい)
その意外性と相まって、ひどく印象的でした。
‘ドメスティック・バイオレンスに一人で悩んでいませんか?’
つまりその張り紙は
家庭内暴力に悩む女性達からのSOSに応える協会からの
メッセージだったのです。
コッツワルズ地方家庭内暴力対策防止協会。
美しく色づいた木々を仰ぎながら
石畳の道が続く 愛らしい村を散策してきたばかりでした。
「いいね」「素敵だね」「こんな所に住めたらな」
そんなことばかりを言いながら 町歩きを終えたばかりでした。
まさに おとぎの国に浸りきっていた私の中で
コッツワルズという響きと
家庭内暴力という言葉がどうしてもつながらず
何度もクラッシュ。
家庭内暴力、
それはあまりにリアルな現実問題で
それゆえおとぎの国とは相容れなかったのです。
秋の午後。
斜陽の中、より輝きを増して美しくたたずむ町が
車窓に遠くなってゆきます。
女子トイレにこっそりと貼ってあったあの現実。
それは確かにある意味で衝撃的ではありましたが
‘見なければよかった’とは思いませんでした。
こんな表現は的確ではないかもしれないですが
正直に言うならば、
おとぎの国で出会った、人間臭さともいうべき現実に
どこか安堵さえしていたようにも思うのです。
現代社会に渦巻く様々な問題は
私達が現実を生きる日本だけでなく
こんなに小さく平和そうに見える村でも
いや、人間が暮らしている限り どんな場所でも
皆が同じように向き合っていかなければならないもの。
それは大変なことではあるけれど、
私達がいろんなことと戦いながら
踏ん張って生きていることの証であるようにも思うのです。
同じ傷を持った同志が 互いに優しくなれるような、
そんな不思議な感覚で
小さくなってゆく町を見送るのでした。