Blue willow のある食卓
ーEveryday with Bluewillowーー
連日、海にいる。 今年もまた、帰って来た。 この海に。この風景に。 「屋敷を一気にまわり、段状になった庭園の急坂をぽんぽんとぶようにおり、 庭木戸から崖への小道へ出ると そこで、一瞬、眼前の光景に釘付けになる ー 海岸、町、港、埠頭、岩、海、 港の後方に盛り上がる「島」の緑の丘、 そしてそのむこう、 丘のすぐうしろから、はるか、はるかかなたまで 果てしなく広く深く青い海が 空を横切り燈台までひろがっているー」 昨年の夏に出会った、 ジル・ペイトン・ウォルシュ の「夏の終りに」の続編 「海鳴りの丘」を、二度、読んだ。 純粋に、続編として楽しめて読めたのは どのあたりまでだろうか。 砂浜にうつぶせになり、 背中を焦がす陽射しを感じながら うつらうつら。 カモメの鳴き声を、汽車の音を、教会の鐘を 夢見心地に聞きながら うつらうつら。 そんな心地で夏物語の頁を進めていけたのは どのあたりまでだろうか。 続編に組み込まれたテーマの重さは、 若いマッジとポールの成長を描いた本編とは、 性質を異にするものだった。 あまりに思いがけなかったので、 最後のページまで辿り着いた後、 続けてもう一度、 最初のページから読み返さずにはいられなかったほどだ。 でも、一度目は、物語中の個々のエピソードに捕われすぎたあまり、 大きな流れが見えにくくなっていたのだろう。 二度目を読み終わる頃には、 二作を貫く共通項に すとん、と腑に落ちるものがあった。 主人公、少女マッジは、 続編では既に祖母となっており 少女時代と、祖母としての彼女の人生が 交互に語られるという形式で物語は進んでいく。 長い人生でのさまざまな出来事を その手で受け取り、受け止めてきた、老女マッジ。 そして今、 遠い夏の日に、マッジ達の到着を庭で待っていた「おばあさん」のように 彼女は夏の休暇に訪れた孫たちに囲まれている。 あとがきで訳者はこう書いている。 「マッジは老いて、老いに苛立ちながらも、 考え続け人生を直視する女性である。 それは、愛のない心と思慮のない愛は 世界と世界の美しさを裏切るという信念を 泥沼の中で掴んだ故であ」ると。 「おばあさま、死ぬのはいや?」 マッジは孫の一人にそう尋ねられる。 「おばあさま、だってねえ、まず大きくなる、 それからいっぱいいやなことがある。 そのあとは死んでしまう、ぼく、意味がわからない。」 なんですって!子どもがなんてことをいうの! 子どもたちときたらたしかに、 形而上学の雲をたなびかせてうまれてくる。 「夏休みの旅にでるようなものですよ。」 マッジはやっとことばをさがしあてる。 「大切なのは目的地ではなく、とちゅうで見るもの」 (略) 「そうですよ、わたしたち、みんな死ぬわ、 でもまず、みんな生きるの。」と、 マッジはピーターにいいきかせる。 「意味がわからない、なんてくよくよしないこと。 ただあたえられるものを受けとりなさい、 両手で、どっさりうけとりなさい。 あんた方、手を叩いて歌わなければならないわ。」 「ええ、ええ、わたしする!」 小さなベスが寄って来ていい、 祖母のまわりを手を叩いて踊る。 「何を歌おう?」 (略) そう、何を歌いましょうね?と マッジは心に問う。 まあどんな悪漢か、ごろつきか、偶然が この世をつくったのか知らないけど、 景色にかけては腕の冴えた、超一流の魔法使いじゃありませんか! 何を歌おうですって? 海からとれたての新鮮な魚、甘いイチゴ類、 肥えた畑の上等な小麦から作ったパン。 日々、見えるでしょう、 目をちょっと丘へあげてごらん、 風や雨や雲の動きが、 光がふりそそぐのが、 一瞬といえどもおなじではないでしょう。 空も天気も、潮も、時の流れも、気ままに降る雨も。 行きている証は、肉体があること。 自分がどこに、いついるのかを見て知ること。 ここにわたしたちはいるのよ、 晴れがましい舞台の上にいる素人の俳優のように、 宇宙という華麗な背景にあがってしまい、 せりふをまちがえもするわ、 けれどもわたしたちでもたまには、 断続的にきらっきらっと光を放ち、 いつかは滅びるものの美を演じるのよ。 「クリームものせたら。」 祖母は花柄の皿にのっているスコーンの上へ、 クリームを山盛りにしたスプーンをさし出す。 「ジャムに重ねてもすてきよ、きっと」 「すてきよ、ここは!」とベスがいう。 「おばあちゃまのおうちってすてき」 *「海鳴りの丘」* ジル・ペイトン・ウォルシュ 作 百々佑利子 訳(岩波書店) 店) (2013.7.30) |
・姿は見えず・ 「その箱を、部屋のはしっこに置いておいてくれる?」 「・・・」 しばし無言のまま、箱をもってうろうろ。 「はしっこに、お願い」 「・・・」 「どうしたの?」 「・・・ぼくには、はしっこのすがたが見えないんだよ」
「ママと渋滞する〜」と
・プルンミとアンニパンニ・
さ sateさて、ベランダの朝顔に水をやるのは息子の役目。
随分前、
とにもかくにも、
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